すごい人である。本当にすごい人である。なぜか。1)当初捕縛された際の罪状だけでは死罪にはならなかった。しかし、幕府を覚醒させるべくこれまでの所行をすべて告白する。結果、死罪を被る、2)その際、自分の刑死が、後進の者ものを目覚めさせ、しいてはこの日本を新生させることにつながるとしたその心意気と達観、さらに本書にあるように、3)このように澄み切った、しかも潔さで死に臨んだ。いずれも、われわれには真似することさえ叶わない偉業である。ただただ偉業である。さらに、清明たるその死に対し、遺書である本書の原本が後世に受け継がれるまでの波瀾万丈の物語にもまた、私は涙を禁じえなかった。われわれ日本人は、このような方を先達にもつことが叶い本当に幸福である。日本人に生まれ落ちたことを感謝せねばなるまい。蛇足ではあるが、私は医学領域の末席に携わるものである。さる医師が、末期にあるさる患者様に本書を、さらにいうなれば第八章の御文を与えたところ、死に臨んでの覚悟が定まり、ある種の喜びをともなった諦観をその方にもたらした、という逸話にもまた、多くの人々は感動と感涙に誘われるであろう。我々は、先人たちが血と汗と涙でつづってきた日本の歴史と、この素晴らしい祖国日本を守っていくべき責務があるのだと、読後つくづく感じ入った次第である。
齢満29歳にしてこの意志ありとは、感服の一語に尽きる。
<br />人としてどう生きるべきか、またどうあるべきか。
<br />何某か感じるものがあるかと思います。
<br />「人生」に於いて必読の一冊です。
吉田松陰が処刑前に親族、弟子達に書き残した魂の叫びの遺書。限られた時間の中で、極限状態のなかでまとめられただけに、吉田松陰の苦悩や弟子達への愛情がほとばしっている。時代背景、思想が大きく異なる21世紀の日本に生きている我々には理解を超えているのは事実ですが、吉田松陰という偉人を偲ぶことができる良書です。