対日戦勝に続く占領政策を成功させるために
<br />アメリカの文化人類学者兼詩人である壮年女性が
<br />日系人へのインタビューや多数の文献を調査し、
<br />日本人をアメリカ人(ヨーロッパ文化圏人)に
<br />理解させることを目的とした著書である。
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<br />対照範囲は日米間に留まらず、
<br />ヨーロッパ、中国、ポリネシア等にも広がっており、
<br />その洞察力は秀逸で理解はリベラルである。
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<br />私はある時には強く日本的であり、
<br />別の時には著しく西洋的である己に気づいた。
<br />また、周りの人に思いを巡らすと、
<br />その側面はそれぞれ異なっていた。
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<br />本書は異文化理解のみならず、
<br />現代日本を生きる上でも役に立つ、
<br />色あせることのない名著である。
この本は太平洋戦争に勝ったアメリカが日本を統治する際に、まず日本文化と文化に潜む精神を知る必要があるということで、文化人類学者である筆者の行った日本研究の報告書である。
<br />内容としては簡潔に言ってしまえば、倫理の観点から見ると日本文化は恥の文化である、ということが様々な論理的根拠や例をもとにして述べられている。改めてわれわれの価値観の根本原理を暴かれたような気持ちになった。
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<br />個人的にはっとさせられたのは、日本人の人生観は、トランプゲームに参加するプレーヤーのごときものであるというくだりである。そして、あまりに(日本流の)人生におけるプレーが型にはまりすぎているので、異文化に放り込まれたときに中々対応ができないのである。
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<br />総じて自分はやはり日本文化の影響を当然だがかなり受けていることを実感させられる本である。評者が薦めているように、全ての日本人に自分の従っている価値観を見つめなおす機会として一度読むことをお勧めしたい。
アメリカの女性文化人類学者が第2次世界大戦にあたって敵国「日本」を文化の面から分析する目的で書いた作品。日本は「恥の文化」で欧米は「罪の文化」という有名な解釈を表した作品でもあります。本書では日本人の特性や、その文化、傾向性などを欧米人と比較しながら客観的に述べていています。書かれた時代が違うということもあり、少し理解しずらい部分や間違った物もありますが、外国からはそんな風に見られているのか〜と面白く読むにはいいんではないでしょうか。