『零崎軋識の人間ノック』というタイトルはついていますが、
<br />お話としては3つの短編が収録されている、という感じ。
<br />ついでに言わせてもらいますが、タイトルのわりに軋識は活躍していないし、
<br />ノックも……空振りのほうが多い、かな?
<br />
<br />というコトで、軋識の活躍をしてしまうとガッカリする作品ではありますが、
<br />零崎一賊間の会話や、『戯言シリーズ』登場メンバーのはっちゃけた過去の姿など、
<br />小ネタやリンクで十分楽しめたので、私としては買ってよかったと思っています。
読んでみて面白かった。
<br />戯言シリーズが好きな人は、買っても損はないだろうし、
<br />誰かに勧められなくとも、買っていそうな作品。
<br />自分もその一人で、買ってみたが買ってよかったと思っている。
<br />
<br />竹さんのイラストも個人的にネコソギラジカルの時よりよくなっていて、
<br />嬉しかった。萩原子荻や西条玉藻、ジグザグな市井遊馬、零崎一賊・・・。
<br />
<br />舞台は戯言シリーズの5年前。いーちゃんが14才の頃。つまりいーちゃんが
<br />ヒューストンに渡り、ERプログラムに参加したときだ。玖渚友がチームを結成した年でもある。
<br />この本にはその年の零崎一賊と萩原子荻の衝突が描かれているのだが、
<br />どうやらその3年後にも、零崎一賊は萩原子荻(+α)と衝突するらしい。
<br />
<br />来年には「零崎曲識の人間人間」が出版されるそうだから、ひょっとしたらそのときに
<br />零崎VS策師の戦いの続きが描かれることになるかもしれない。
<br />
<br />前作に当たる「零崎双識の人間試験」ではスペシャルファンディスクが付いていたように、
<br />この本にはトレーディングカードが付録として付いている。
<br />
<br />作中のキャラはどれも魅力的で、シリアスもコメディも読みやすい。
<br />そんなわけで、オススメの作品である。
<br />
<br />ただ一つ気になったのは、
<br />登場人物欄の萩原子荻のところが萩原子萩になっていたろころだけだ・・・。
前回の『零崎双識の人間試験』は、戯言シリーズを知らなくても楽しめる(勿論読んだほうがより楽しめるけど)ようになっていたのに対し
<br />こちらのほうは戯言を読んでないとイマイチな本になっていると思います。
<br />もちろん全巻読破している私は十二分に楽しめましたが
<br />これはクロスオーバーやスピンオフを嫌う西尾氏にしては珍しいような気がします。
<br />しかし、この本を読んでいる読者で、戯言シリーズを未読な方は皆無に等しいでしょうし、
<br />これは重箱の隅をつつくようなものでしょう。
<br />その辺のことを抜きにして、この本の感想を書くとすれば、読んだ人の7割以上が
<br />「一姫ちゃん、あんたなんてことをしてくれたんだ!」
<br />と読後に思うことでしょう(笑)