コンサルティングの第一人者、大前研一氏による経営戦略のロングセラー。戦略的経営計画の実際を解き明かす。
<br />
<br />事実関係、実例などはかなり古くなっているものの、基礎的な戦略的思考のフレームワークなどは、今もって新鮮です。読んでいると自然に脳が活性化し、自分の会社や自分自身を振り返って、不思議と改善点や改善策が湧き上がってくるのが、良いビジネス書のもつ効果だと思いますが、本書もそうした一冊です。自分自身が今もつ課題に対しての答えが、自分の中から生じてくるための、触媒のような働きをする本です。
<br />
<br />
『企業参謀』の続編の形式になっていますが、
<br />前作より、思索は深く、内容も濃いものになっています。
<br />
<br />企業経営、特に、低成長期、市場のパイが拡張できない
<br />時代の、企業、組織、経営者の意思決定を、いかに、合理的に
<br />行うことが可能か、を探求しています。
<br />
<br />また、前作では、図表が多用されていましたが、本書では、
<br />図表よりも、文章での説得力に力点のある内容になっています。
<br />
<br />氏の企業戦略論は、戦略思考、論理的思考だけで分析した
<br />冷徹な、空虚な論理だけにかたよることなく、人間、組織、日本と
<br />いう風土、文化をよく考慮した上で、その理論を現実に当てはめる
<br />ためのプロセスを現実的に解説しているとことがミソ。
<br />
<br />そのため、現実味、説得力がいや増しています。
<br />そこが、氏の著作が年数が経過しても、色あせない理由ではない
<br />でしょうか。
<br />
<br />なお、戦略的自由度、を説明する図式に、氏の写真が登場するページ
<br />は、ちょっと面食らいましたが・・。
『企業参謀』の続編である。前作ではPPMなどのいわゆるコンサルタント技法が中心に書いてある。よって、現在の戦略論の進化からすれば、PPMなどはもはや陳腐化している感も否めない(もちろん『企業参謀』が書かれた時点では、間違いなく世界でも最先端の内容であった)。<br>それに比べこの『続・企業参謀』は本人も言っているが、応用編、というか(技法ではなく)思考法に力点が置かれているため、現在でもまったく色あせていない。特にKFSや戦略的自由度は他の学者系の本には書かれていない、大前さん独自の思考法で、「競争優位を築きなさい」「差別化しなさい」「コストダウンしなさい」と書かれている学者の本に比べて「ではどういうふうにそれらを行うのか?」についての解答となっている。<br>薄い本であるが、この本を読んだだけでも、相当戦略が練れるようになる。企業人だけでなく、起業家も自社の強みを把握し、大企業に立ち向かうためにも必要な思考法である。<br>ぜひ一読を勧めたい。