よく二人の毛沢東がいたといわれます。中華人民共和国建国までのヒーローとしての毛沢東と、その後の「大躍進」や「文化大革命」での弾圧者としての毛沢東。この本を読んでよく分かりました。毛沢東は一貫して弾圧者なんだと。ただ建国後の弾圧はあまりにも規模が大きく、国際的な関心を呼んでしまったために、装飾できなかっただけだったのだと。また、日本では周恩来に対して、弾圧者毛沢東に対しての良心を守った人のように評価が高いが、よく考えればそれはおかしい。「大躍進」の失敗により、農民が次々と餓死していく中、本当の良心を持った人ならどうするのか。身を捨て、それを阻止するよう抵抗するのではないか。彭徳懐や劉少奇がその人たちであり、彼らは獄中死してしまう。最後まで粛清されず、病院のベットで病死した周恩来の本書における描かれ方は納得いくものであります。中国が民主主義の国家として生まれ変わる日があるのなら、それは天安門広場に掲げてある毛沢東の肖像画が取り外される日だと思います。
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現在の中国の共産主義体制を確立した毛沢東の真の姿に迫るノンフィクション。われわれ日本人が知っている毛沢東とはまったく異なった人物像が浮かび上がってくる。彼は確固としたイデオロギーを持たず、カリスマ性もなく、自己中心的で、その上残酷である。
<br /> この本を読めば、どれだけ多くの人間の犠牲のうえに現在の共産主義中国が成り立っているかがよく分かる。彼は決して英雄ではない。毛はただの野心家であり、うまくチャンスをとらえ、その後は武力による弾圧(血の粛清)とライバルを蹴落とすことによって、最高指導者の地位を得たのである。
<br /> これまでは、毛沢東は中国の共産主義体制を作った英雄というイメージを持っていた。しかし、この本を読んで、そんなイメージは粉々に打ち砕かれた。
<br /> 毛沢東の若いころ、旧ソ連でも中国でも大量虐殺が行われていたようである。そこには、自分たちの信念にそわない者を武力で鎮圧するという構図があり、それは現在のイラク戦争などと変わらない。まさに、歴史は繰り返すという言葉がぴったりと当てはまる。
<br /> 毛沢東の国の支配形態は、紛れもなくファシズムである。彼は恐怖政治によって権力を維持していたのである。毛はその野望のために、何千万という人間を犠牲にしている。その点では、ヒトラー以上の独裁者と言える。
<br /> 「共産党による統治はつねに殺人を続けていないと不可能だった」という記述から分かるように、共産主義はもともと人間社会の性質に合わない無理な政治形態だったのだろう。その後のソ連の崩壊、世界情勢の変化を見ても、そのことがよく分かる。
現在の中国の共産主義体制を確立した毛沢東の真の姿に迫るノンフィクション。われわれ日本人が知っている毛沢東とはまったく異なった人物像が浮かび上がってくる。彼は確固としたイデオロギーを持たず、カリスマ性もなく、自己中心的で、その上残酷である。
<br /> この本を読めば、どれだけ多くの人間の犠牲のうえに現在の共産主義中国が成り立っているかがよく分かる。彼は決して英雄ではない。毛はただの野心家であり、うまくチャンスをとらえ、その後は武力による弾圧(血の粛清)とライバルを蹴落とすことによって、最高指導者の地位を得たのである。
<br /> これまでは、毛沢東は中国の共産主義体制を作った英雄というイメージを持っていた。しかし、この本を読んで、そんなイメージは粉々に打ち砕かれた。
<br /> 毛沢東の若いころ、旧ソ連でも中国でも大量虐殺が行われていたようである。そこには、自分たちの信念にそわない者を武力で鎮圧するという構図があり、それは現在のイラク戦争などと変わらない。まさに、歴史は繰り返すという言葉がぴったりと当てはまる。
<br /> 毛沢東の国の支配形態は、紛れもなくファシズムである。彼は恐怖政治によって権力を維持していたのである。毛はその野望のために、何千万という人間を犠牲にしている。その点では、ヒトラー以上の独裁者と言える。
<br /> 「共産党による統治はつねに殺人を続けていないと不可能だった」という記述から分かるように、共産主義はもともと人間社会の性質に合わない無理な政治形態だったのだろう。その後のソ連の崩壊、世界情勢の変化を見ても、そのことがよく分かる。