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ただマイヨ・ジョーヌのためでなく ( ランス アームストロング Lance Armstrong 安次嶺 佳子 )

英語版を読みました。私は自転車ファンではありません。アームストロングの名前もTour de Franceで偉業を成し遂げたアメリカ人と言う程度の知識しかありませんでした。そんな私がこの本を選んだ理由は、彼を「癌との戦いに勝った人間」としてもっと知りたかったからです。私の妻も癌との戦いに勝ち抜いた人間です。 <br /> <br />確かに彼の精神力の強さや、目標に向かっての断固とした決意・行動力はすばらしいと思います。が、この本を通して感じられる「世界は自分を中心に周っている」的な彼の態度には、少しがっかりさせられました。常に彼を脇から支えてくれた、お母さんや奥さん、そしてお医者さんやスタッフへの感謝の気持が、この本を読む限りでは、あまり感じられません。確かに、本の中でも感謝の気持を表した所はいくらかありますが、どうもこの本の為の「後付け」の様な感じがします。英語で読んだので、日本語とのニュアンスの違いがあるかもしれません。 <br /> <br />できる事なら、彼のお母さんや奥さんの立場から見た、ランス・アームストロングの「癌の克服そしてMaillot Jaune」の物語を読んでみたいです。

 著者のルイス・アームストロングは、知る人ぞ知るツール・ド・フランスで7回連続して制覇した世界の自転車ロード・レース王です。 <br /> 愛情溢れる母の理解と励ましの下、数々の選手権を制して世界のトップ・ライダーへの道を嘱望されていた25歳のランスは、突然、身体の不調に見舞われ、あろうことか癌の告知を受けます。しかも、転移は脳にまですすんでおり、生存率は既に2割を切った状態。時に絶望し、特に自堕落となりながらも、母や友人達の励ましを受けて、彼は雄々しく病に立ち向かいます。ツライツライ化学療法に耐え、奇跡的に癌を抑えきったランスですが、体調は戻っても、自転車競技への復活はまだ遠い道のりです。迷いと自虐に揺れ、えてして放縦に流れる彼の魂を救ったのは、妻の優しく、かつ厳しい一言でした。 <br /> 再生遂げたランスが目指すのは、ツール・ド・フランスの覇者だけが着用を許される黄色のジャージ、「マイヨ・ジョーヌ」です。世界中の名だたる自転車乗りが一度は獲得したいと憧れる、「自転車世界一」の証明です。過酷なレースと激しい角逐が行く手を阻みますが、己のプライドと家族への愛をかけて、戦いの場へと、彼は力強く臨むのでした。 <br /> 本書は、癌からの奇跡的な復活とライダーとしての再生の道のりを描く、正に壮絶な物語です。闘病中の彼の姿勢には、「前向き」とか「ポジティブ」といったものを超えた、もっと何か、ガムシャラで切実なものがあります。原題が「It’s Not About the Bike」とあるとおり、単なる自転車競技の話ではなく、人としての大切な何かを語る本だと思います。自転車ファンの方だけでなく、多くの人々におススメできる一冊だと思います。

偉大なランス・アームストロングが睾丸癌にかかり、周りの家族や友 <br />人に支えられながら、過酷な自転車レースで鍛えられた精神力を発揮 <br />して癌をやっつける。その後の彼の活躍で、彼にとって「癌は僕の人生 <br />にとって最良なことだ」と言っていることを証明しています。 <br />今、癌と戦っている方、いつ癌に冒されるのか不安に感じている方・・・ <br />彼の精神力の強さは全ての人に勇気と希望を与えてくれると思いました。 <br /> <br />

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ただマイヨ・ジョーヌのためでなく非常にアメリカ的なストーリーだ。挫折と喪失感に満ちたどん底から這い上がり、勝利の栄光をつかむ。それも23日間、4000キロにわたってアルプスやピレネーを走破するもっとも過酷なツール・ド・フランスで。その数か月後には、精子バンクに預けておいた最後の精子で子供も授かった。成功物語、いわゆる「アメリカン・ドリーム」は数々あるが、ここまで劇的なのは初めてだ。 <br>アームストロングは「癌(ガン)は僕の人生に起こった最良のことだ」と公言してはばからない。死と向かい合ってはじめて、彼は気づくことができた。周囲の人たちの優しさに、人を愛することに、そして、生命の素晴らしさに。仕事でしかなかった自転車は、限りある生命を燃やす「生きがい」へと変わっていった。 <br>原題『It's Not About the Bike(自転車についての話ではない)』の通り、本書は自転車レースの話ではない。単なるガン闘病記でもない。アームストロングの自己発見の物語である。病気を乗り越えた彼は、以前より何倍もやさしく、強く、そして輝いている。困難に立ち向かう勇気を与えてくれる珠玉の1冊。(磐田鉄五郎)
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