生まれや育ちからこの時代の人間のスケールは今の我々の想像を超えている。
<br />4万坪の土地、イギリスへの留学、膨大な小遣い、豊富な人脈。それもほとんどの国民は豊かではなく、外国には自由にいけない時代においてである。
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<br />明治維新の精神や興奮がまだまだ残っている時代に生まれた彼らは、最後の侍スピリットをもった人たちなのではないだろうか。
<br />次郎はその豪傑達の中でもひときわ秀でた天才。
<br />その「カン」と思い切りのよさ、ぶれないロジック、そして環境から来る豊富な人脈、そしてその時代のエネルギーが、彼に爆発的なパワーを与え、ここにあるような成果をもたらしたのだと感じた。
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<br />かっこいい、という言葉だけではあらわせない行動とそのベースとなる規範。
<br />自分にはできないと思わせるエネルギー。
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<br />個人的には戦後処理の歴史はほとんど知らなかったため、そこにかけるひとの思いと熱意にほんとうに胸を打たれた。
<br />次郎だけではなく、ここに登場するかっこいい人は全て立場は違うが戦後日本の復興を願っていた。その熱意が本当に歴史を作っている。
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<br />一方、今の時代はもっと難しくなっているような気がする。熱い思いと自分にとっての正義、そして人を動かす力だけで、今の時代は動かせるだろうか。
<br />次郎が今の時代に生まれていたら、あの時代以上に活躍できていただろうか。
<br />これは疑問だと思うのである。
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ダンディズムとはどういうものかを教えてくれる本でした。
<br />こんなすごい日本人がいたとは驚きだった。
<br />本を読んで感動を覚えたのは数年ぶり。
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<br />・・・・・・いや、十数年ぶりか?
私がこの人物の存在を知ったのは、10代後半、高校生か大学1、2年だったと思います。当時日本テレビで「知ってるつもり」という番組に取り上げられていました。「こんな人物がいたのか。」と思い、この人物に書かれている書物を本屋で探した記憶があります(結局見つかりませんでしたが)。その後、社会人になって「風の男 白州次郎」を読みました。さすがに10代の頃のような単純にかっこいいな、こんな人物になりたいなという憧れだけでなく、「住む世界が違うわな。」という感覚を持ったと記憶しております。そしてそれから10年近くが経ち、本屋でこの本を手にしました。目次をとってみたところ、白州氏が世の中に出てきたころ、終戦連絡事務局次長〜東北電力会長時代の話が多く書かれているようだったので購入しました。
<br />私は現在38歳。白州氏が世の中に出てくる少し前の年齢になり、上場会社の役員になって2年。それなりに苦労をしてきたのか、白州氏の苦悩を共感でき、少し嬉しくなりました。
<br />特に「只見川電源開発」のところ、どんな壁があろうとも知恵を絞り、突破してやるぞという気持ちにさせられます。終戦前夜のことや登場人物の理解がないと難しく感じるかもしれませんが、30代後半〜40代で頑張っている全ての人(男女問わず)に手にとって欲しいと思います。