タイトルからもわかるように、著者のポジションはNYダウ暴落・金高騰です。自分自身でもアメリカの金鉱山の所有者となっておられるようです。
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<br />国際的な投資家との交流を持ちながら、自らの足も使って情報を集め、自分の頭で、株式、為替、商品、不動産などの市場を有機的に考察して、自分自身の結論を出して、ポジションをとっている本物の投資家であると思います。
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<br />ジム・ロジャースの視点を紹介しながら、自分のコメントをしっかりと述べているところなど、とくに読み応えがありました。
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<br />国際的に通用する日本の投資家の視点を勉強する上でとても役に立つ本です。
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<br />投資の難しく面白い点は、その上でさらに自分自身の頭で考えないといけないことなのですが。
松藤民輔さんの本は、ほとんど読んでいます。
<br />今回は、久しぶりの出版です。
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<br />1993年『脱・金融大恐慌』が出版されたときには、多くの人が「銀行がつぶれる」の予測を、そんな馬鹿なことが起こるはずがないと否定しました。
<br />しかしその後、経営不振の銀行が吸収合併され、多くの銀行がなくなっていきました。
<br />今、彼はアメリカ経済の終わりを予測しています。
<br />ニューヨークダウが暴落すれば、日経平均も一時的に下落するでしょう。
<br />大混乱はチャンスです。
<br />ロスチャイルドは、ワーテルローの戦いの結果を伝書鳩を使って、誰よりも早く情報を仕入れ、
<br />ロンドン市場において、総売り状態の中、一人買い進み、莫大な資産を手に入れ、財閥の基礎をつくりました。
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<br />ニューヨークダウ暴落した時がチャンスです。
<br />いかにチャンスを活用するか、この本にはその指針が書かれています。
要約すると、アメリカは物づくりを軽視し金融に走っており、現在特に不動産バブルがはじけそうであり飽和点に達している。それで近未来アメリカの相場は暴落し、最終的には日本が豊かになる。そこで他人とは違った方向で未来を予測して投資しよう、というところか。
<br /> その意見には賛成する部分もあるが、アメリカの金融一直線を批判しながら日本の投資には賛成する等矛盾も多く、さらに金の投資を安易に薦める(金は値段の変動が激しく、他の投資よりも遥かにリスクがある)、日本の政策の愚を考慮せず、楽観論に過ぎる著者の言を信じるには欠点が余りにも多すぎる。そしてこれ見よがしに有名投資家との交友関係・・まさしく胡散臭い投資話の典型である。
<br /> 著者こそアメリカの製造業の衰退を批判する前に安易なマネーゲームを薦めるのを辞めるべきだろう(著者は一日26時間勉強できるもののみが投資に成功する」という逸話を紹介しておきながら勘を磨いて投資しよう、と薦めるのは余りにひどいではないか!!)