多くの読者は記憶力を強くしたいという動機でこの本を手に取られると思うが、記憶の脳科学について分かりやすく記載したまじめな本である。多分、本の題名としてはこうするしかなかったのであろうが、記憶の鍛え方に関しては現時点ではこの本を読んで読者が考えるべき問題としかいえず、記憶力を強くしたいと購入した人には当てが外れるかもしれない。
<br />しかし、記憶に関して思索することがこんなに楽しいことであるとは、期待せず読んだせいかかなり特をした気分になりました。お勧めです。
おすすめです。
<br />
<br />まず、減る一方と思っていた脳の神経細胞が、
<br />増殖して数が増えることもありうる(たとえ七十歳でも)、
<br />それが記憶と深い関係のある「海馬」だ
<br />という点が衝撃でした。
<br />
<br />タイトルから受ける印象とは裏腹に、
<br />記憶の仕組みが、最新の脳科学の分野から、
<br />説得力をもって説明されています。
<br />
<br />私は、歳をとるほど、自分の記憶力がさえてきているように感じていたのですが、
<br />その理由がわかりました。
<br />歳をとると、「エピソード記憶」が発達し、
<br />論理だった記憶能力がよく発達するとのこと。
<br />記憶にはさまざまな種類があり、
<br />それが人の成長と密接に関係しているそうです。
<br />(ついでに生物の進化の過程も表している)
<br />
<br />その他、今まで何となく感じていたことの科学的根拠がわかったと感じたこと多々ありました。
<br />
<br />結論は、記憶力を増強するには
<br />「好奇心」と「努力」と「忍耐力」と、ちょっとした「コツ」
<br />ということなのでしょう。
<br />(なぜかが本に書かれています)
<br />
<br />私としましては、
<br />脳は使いこなすほど、より使えるものになる
<br />という点が勇気が出てきましたし、
<br />また、記憶力をコントロールできる気になれました。
<br />
だいたい記憶力について、関心をもつきっかけは、自分が「もの覚え」が悪くなったなとか、どうして、あの人は色々と覚えているんだろうとか、そういったことがきっかけになって、「手っ取り早く覚える方法は無いかな?」と考えて、まず、「記憶術」や「記憶法」に関連する書籍を読み始める。そして、記憶術などの書籍を読んで、実践してみても、なかなかうまく活用できず、今度は、「記憶の本質って何だ?」と記憶自体に疑問を持ち始め、記憶に関係する書籍を読み始める場合が多いと思う。
<br />かく言う自分も、このステップを経て、「記憶力を強くする」にたどり着いた。この本は、どのような経過で脳がものごとを記憶していくかということに焦点を絞って、脳が記憶していく仕組みを書いているので、私みたいな経過をたどってから、読む者にとっては、役に立つ。
<br />この本を読んでから、あらためて「記憶法」や「勉強法」の本を読み返すと最初に読んだ時よりも内容の理解が促進される。
<br />
<br />「最新脳科学が教える 高校生の勉強法」は、「記憶力を強くする」をやさしく書いているので、勉強法に役立てる目的なら、「最新脳科学が教える 高校生の勉強法」を、記憶の仕組みをさらに詳しく理解したいなら、「記憶力を強くする」を読めば良いと思う。