青年医師の立花登を主人公とする藤沢周平の人気時代小説シリーズの第一巻。多くの藤沢作品の主人公がそうであるように、この立花登もとてもとても清々しい。<p>物語り全体がほんわかしており、どことなく微笑ましかったりもする。格闘場面もあるが、柔術なので物騒でない。<p>読み進むうちに、登の居候先での地位が徐々に(本当に地道に)向上していくのが読んでいて嬉しい。「頑張れ!」と応援したくなるのだ。
『用心棒シリーズ』とともに藤沢さんの代表的なシリーズ物となってる本作(『檻シリーズ』)は全四巻からなる。<br>文字も大きくなって読み易い。<p>設定としたら、居候先の叔父が酒飲みで肩身の狭い生活をしている為に、登も同様に気分屋の叔母や不良娘おちえに扱われているところが和やかな雰囲気を醸し出している。<p>それにしても立花登がとってもいい。まるで藤沢さんの人柄をそのまま表したような感じを受ける。<p>第1巻目を読んだところでは宇江佐真理さんの“髪結いシリーズ”と比べたら捕物要素が強いような気がする。捕物要素7割・青春恋愛要素3割といったところかな。<br>ちょっと登の失敗談的な話もあって心地よい。<p>獄中の人間に対しても暖かいまなざしが注がれてるのが目につく。<br>あと、悪�!��と対決する際も柔術で勝負するので殺傷沙汰とならないところが爽やかに受け止められてとってもいい。<p>いとこのおちえとの恋模様や、おしんの将来、あるいは友人の新谷弥助との友情など・・・<br>最後におちえがさらわれる章があって急展開、今後も目が離せない展開となりそうです。