知性や知恵では誰にも負けなかったであろう黒田官兵衛だが、運も必要なのだ、という事を思い知らされる。
<br />私は現役でバリバリと秀吉のかたわらで仕事をこなしていたであろう官兵衛よりも、全ての欲を捨てて如水として生きた晩年の姿に心うたれる。
<br />多分心の内では「秀吉、家康なにするものぞ」と思っていただろう。
<br />関が原時点でもまだまだ枯れてはいない姿をみせる。
<br />しかし、その後は本当に捨てたのだろう。それに対するびくびくものの家康の心情を思うと笑えてしまう。しかし、それだけ恐れられたのは、如水にとって本懐であったろう。
<br />そんな事を考えながら如水という意味を噛み締めてみた。
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黒田官兵衛の生涯を描いた小説.最終巻の第四巻は,緊迫する毛利対信長(秀吉)陣営で,小早川・吉川・安国寺 v.s. 秀吉・官兵衛の政治的攻防がどのように進んだかが細かく描かれている.この政治的攻防だけでなく,高松城の水攻め,本能寺後の大返しで官兵衛がいかに活躍したかが分かる.それと同時に,だんだん官兵衛に対して嫉妬を感じるようになる秀吉の心理も面白い.山崎の合戦で明智光秀を討った後は,官兵衛が表舞台を去りその後隠居するころから,かなり駆け足で進み,最後の盛り上がりは関ヶ原のときに少数の手勢で北九州をあっという間に席巻してしまったこと.「もし関ヶ原がもっと長引いていたら」とどうしても考えたくなってしまう.
歴史の動き上、しょうがないのだが、今巻の大部分は今までの<br>精彩を欠いている気がする。<br>秀吉が明智光秀を討ってから先は、時代は急速な統一に向かう。<br>官兵衛も、小早川隆景もそれ以後の時代では主役たりえず、静かに<br>大きな流れにのる以外になくなってしまうのである。<p>歴史を引っ張るのではなく、流れからやや外れてしまった官兵衛の姿<p>は、だからこそ、の親近感を強く持っている。<p>信長や秀吉にあるようなある種の異常性のない、我々と同類に近い、<br>と感じさせる本作品の官兵衛、皆さんもきっと何かを<br>感じられると思います。