村上春樹はノーベル賞候補だったらしい。何か判るような気もする。
<br />川端康成、大江健三郎、(候補だった)三島由紀夫、谷崎 潤一郎、みんな普通の感覚を持った日本人からすれば、特異な存在。村上春樹に対する評価はいつも賛否両論。私はこのノルウェーの森はいい読み物だと思う。しかし文学作品ではない。彼の作品ではいつも誰かが自ら命を絶ち、主人公がセックスの相手を見つけるのに何の苦労もない。これは文学とはいえない。ノーベル賞を取るには格が小さすぎる。
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村上春樹の小説には、一見優柔不断な主人公が登場する。好きな人のことを思いながらも、何をしたらいいのか、どうしたらいいのかを考える時間をいつも必要としている。ちっとも明るさがない、幸せそうに思えない。「ねじまき鳥クロニクル」のオカダトオルもそうだし、本書のワタナベもそう。そうこうしているうちに別の人と性的な行為に及んだり、人が死んでいったりする。そしてその流れが読み出すと止まらなくなるほど読者を捕らえてしまう。いったい何故なんだろう?
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<br />本書を再読して、確かに悲しい物語であり、純愛が綴られていると思う。ワタナベが成長していく過程も描かれている。でも、読み出したら風呂の中でも頁を繰ってしまうこの渇望に似た気持ちはストーリーの先を知りたいからではなく、この文章の中に居続けたいという不思議な気持ちであると感じる。
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<br />読み終えてそして、「海辺のカフカ」を買いに走ってしまう。
ノルウェイの森は私が初めて著者の作品を読んだ小説だった。
<br />当時私はこの小説を糞味噌に貶していた。
<br />しかし、今振り返るとそう劣っていない小説だと思った。
<br />私は緑という人間の性に対してさばさばしているシーンが良かったと
<br />思う。
<br />何故この小説が売れたのかは当時の若い人間しか分からないと思う。
<br />今では世界の中心で愛を叫ぶがこの更新記録を超えてしまったがやはり
<br />この小説に出ている最後のシーンはスプートニクの恋人の彼女がCOLLを受け取ったのではないかと思う。
<br />私は常に性描写に嫌気がさしていたが今振り返るとこの小説がNo.1だと言う人が多いのも理解は出来ます。