全4巻で描かれる清朝末期の中国。後半に入り、日清戦争の勝利で西洋列強の仲間入り(又は競争相手)を果たした日本も加わっての中国が切り刻まれてゆく様子が描き出される。租界地を拡大し、中国の中に自国の領土を拡大してゆく姿は、他国蹂躙以外の何物でもない。そういう中で中国を守り抜こうとする人達の活躍が胸打つ。中でもイギリスと香港租借を巡って李将軍が登場するシーンは名場面。香港が何年か前に中国に返還されたが、その交渉が描き出される。99年(99とは永遠の意味と説明し)という今から見れば遥か彼方だが99年後の人から見ればそれ程昔ではない期間を貸し出すという5000年の歴史を持つ人達の知恵を振り絞った防衛が行われた。主人公達も階位が上がり、歴史的人物の間に入って活躍をし始める。著者の作品に共通するリズミカルな文章であっという間に読み進められるのが良い。
中国の清時代、国のために運命を翻弄されながらも必死に生きた人々がいた。日本の幕末のような壮絶な人々の人生がこの中国にもありました。昴の星の元に生まれた春児は、この国のまさに希望の星でした。<br>「私はあなたたちを愛しています。だからあなたたちも僕のことを愛してください」<br>一番印象に残った言葉です。
敵同士となった梁文秀と春児<p> その両者は、会ってはならない存在となっていた。<br> それでも、両者は運命の糸に引き寄せられ出会う。<br> <br> その出会いは、敵としてではなく親友としての出会いであった。<br> 梁文秀は、己の今の立場が薄氷の上を歩くが如く危ういことを<br> 春児に告げる。<br> <br> そして、事態の打開を春児に託す。<br> 二人が、いつまでも信頼し会える親友であることを証明する姿<br> そして、政治とは常に危ないバランスの上にあることを改めて<br> 感じさせる。<p> 清という大きな建物が倒れだしそうな軋みを感じさせる3巻です。