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アメリカの終わり ( フランシス・フクヤマ 会田 弘継 Francis Fukuyama )

 アメリカの知性の底力を感じさせる論旨である。散々ユニラテラリズムだ、有志連合だと言っておいて、困ったら国連重視の多国間主義へ退却かと思ったらさにあらず。 <br /> 単独主義か国連重視かの二者択一論はとっくに脱している。国連の非効率、腐敗といった限界は十分踏まえ、一方で企業が先導する経済のグローバル化で民間主導の「多国間主義」が急進展している現実をしっかり捕らえている。 <br /> 本来、この「重層的多国間主義」のようなコンセプトはやたらに国連や国際機関をありがたがって見せる日本の外務省が真っ先に描いてしかるべきだ。いまだに国連中心の集団的安全保障にこだわっている民主党の小沢一郎氏もこれくらいのオルタナティブを提示できれば、政権交代の資格も出てこようというものだが……。読了後は日本の知的敗戦を感じてしまった。

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