戦時中の話ではなく、「戦後復興」のお話。わりといいところに目をつけたなあ、とまず感心。しかもそんなに硬派な絵柄ではなく、まるみをおびた軟らかいタッチですので、生々しさがなく、戦後を扱っておきながらも万人受けしそうだ。「鋼の錬金術師」にわりと近い感じです。素直に楽しめるエンターテイメント。
いや、本当は載ってるけど。それが、ちょっとどうかと思うくらい小さいサイズなのだ。作者に何か恨みでもあるのかってくらい。<br />それはさておき、物語は帝国の戦災復興部隊として設立された陸軍情報部第3課、通称「パンプキン・シザーズ」に所属するアリス少尉、オレルド准尉、マーチス准尉、そしてひょんなことから配属されたオーランド伍長の4人を中心に進行していく。戦災復興と一口に言っても、やはりその道は険しい訳で、貴族・軍人・平民らの軋轢に身を焦がしながらも奮闘する様が描かれる。<br />綺麗事では済まない事柄を、いかにエンターテイメントとして成り立たせるかという、なかなか難しいことにチャレンジしている作品である。各キャラクターの性格付けもよく出来ていて、女たらしの隊員が意外に熱い一面をもっていたり、隊長は貴族の出であるが故のジレンマを抱えていたりと、みんな何かしら自分の業務に対しての無力感や悩みを持ちながらも、それでもやるんだという姿勢が胸を打つ。<br />ただ、それだけでは堅苦しい話になるので、適度にギャグを挟みつつ展開されるのでアリス達の言動に熱くなりながらも、楽しく読むことが出来る。ホント、アリス達が見得を切る様がいちいちカッコイイのだ。
Pumpkin Scissorsでは「戦災復興」と共に「戦時中の闇」も取り上げています(話が進まないと出てきませんが…)。「インヴィジブル・ナイン」「ドア・ノッカー」「カウプラン機関」「銀の車輪秘密結社」などなど…。イラク戦争に疑問をお持ちの方、スパイ映画や小説が好きな方は必見です。
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