第8巻は「のだめの覚醒」をメインに描く。
<br />マイペースが信条であったのだめが音楽の照準をコンクールにセットした。
<br />原因は何か?
<br />大盛況のうちに終わったR☆Sオーケストラの影響なのか。
<br />あるいは千秋の音楽にかける情熱にあてられたのか。
<br />もしくは先行する千秋に追いつけ追い越せの精神でがんばっているのか。
<br />いずれかではなく全て該当するだろう。
<br />がんばっている人は周囲の人に良い影響を与える。
<br />これはまさにその典型なのだ。
<br />眠れる巨人ならぬ、眠れる森の美女を覚醒させた千秋の才能は計り知れないものがある。
<br />同時に目覚めた姫の才能も負けず劣らず豪快かつ雄大である。
<br />この二人が織りなす音楽のドラマの行く末が楽しみだ。
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<br />最近出番の少ない裏軒パパ&真澄ちゃんに代わり、ハリセン妻さんのがんばりが目立ちます。
<br />こういうお笑い担当のバイプレーヤーは、この作品に欠かせない存在です。
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<br />堅苦しいクラシック音楽の世界を、決して貶めることなく
<br />笑えるマンガに仕上げた手腕は、高く評価されるべきだろう。
<br />『のだめカンタービレ』爆発する第八巻である。
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<br />本巻は『のだめカンタービレ』前半日本篇のクライマックスであり
<br />最も心躍る巻であることは衆目の一致するところだろう。
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<br />主人公千秋真一の立ち上げた、R・S(ライジング・スター)
<br />オーケストラの初演は大成功をおさめた。
<br />そして再演も行われ、注目を浴びたR・Sオケには
<br />優秀な入団希望者が詰め掛けるのであった。
<br />一方の主人公のだめも新しい指導教授のもと、
<br />ピアノコンクールに挑戦する。
「日本でまだやることがある」そう信じる千秋真一のR☆Sオケ
<br />デビュー公演のメイン曲、ブラームスが非常に感動的に描かれて
<br />います。公演を聴き、涙を流すのだめ。それだけの説得力のある
<br />迫力が紙面から伝わってきます。
<br />そして、のだめはシュトレーゼマンから受け取った(であろう)
<br />懐中時計を使って、千秋のトラウマを堀り起こします。非常に
<br />繊細で神聖な、これまでののだめに観られない美しい描写です。
<br />それと同時に、遂にのだめが音楽に対して真剣に向かい合います。
<br />「音楽に正面から向き合わないと音楽を心から楽しめませんよ」
<br />というシュトレーゼマンの言葉通りに。
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<br />作者が渾身の力を込めて描いている、物語の核ともいえる巻です。
<br />是非読んでみて下さい。