マルレ・オケの常任指揮者となった千秋のパリでの初めての挫折。また、ダメオケでの新たなスタート。
<br />「空気が読めない」のはのだめよりもむしろ千秋の方ではないかと思った。
<br />そして、挫折した人間がもう一人。かつて神童と言われたが、カーネギーホールでのリサイタルを酷評され、演奏活動を休止した孫Rui。
<br />彼女はのだめの演奏を聞き、何かを感じた。優れたピアニストである者だからこそわかる何か。
<br />あの瞬間、のだめは彼女にとって大きな壁になったのかもしれないと感じた。
<br />のだめは知る由もないが。
<br />睡眠不足の千秋に気を遣って自分の部屋で練習するというのだめに
<br />「試験前だからいいピアノで練習しろ。今日はどんな爆音でも寝られる」という千秋。
<br />平均律を一声一声歌いながら練習しているのだめの声とピアノを聞きながら眠っている千秋の表情は幸せそうで、
<br />母親の腕の中で安心しきっている子供のように見えた。千秋にとってはのだめが傍にいることは当たり前なのだけど、
<br />それがあまりに自然だからその幸せに気づいていない。だけど、いなくなってしまったら耐えられない。
マルレオケで待ち受ける千秋の逆境。
<br />いや受難と表現したほうが良いのかもしれない。
<br />音楽はもとより人をまとめるという指揮者ならではの壁にぶつかってしまう。
<br />もちろん彼なら乗り越えてくれると思うし、そう信じたい。
<br />ただし、持ち前の粘着系がんばりで一悶着はありそうな予感だけれども・・・。
<br />それもまた個性ということで楽しみにしております。
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<br />さて、千秋のマルレにおける逆境と孫Ruiの出現が、のだめのピアノ渇望感に火をつける。
<br />つくづく思うが、この作品の登場人物たちはお互いに良い刺激を与え合っている。
<br />これが道を究めようとする人々の正しい姿なのかもしれないと思う。
<br />安易にショートカットを探すのではなく、一歩ずつイバラの道を歩もうという姿勢に共感を持ってしまいます。
<br />堅苦しいクラシック音楽の世界を、決して貶めることなく
<br />笑えるマンガに仕上げた手腕は、高く評価されるべきだろう
<br />『のだめカンタービレ』、千秋落胆の第十四巻である。
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<br />ルー・マルレ・オーケストラの常任指揮者に就任した
<br />主人公千秋真一。しかし長年の放漫経営と内部抗争で
<br />金属疲労を起こしたオケの公演は惨憺たるものだった。
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<br />一方、のだめは黒木・デュポアと三人でヤキトリオという
<br />トリオを組んで、試験に挑もうとしていた。
<br />異国の地で主人公たちの落胆と苦悩は続く!