奥田さんの作品は話の展開が早いのが特徴です。前作の『最悪』に話の内容が少し似ている気がしましたが、とにかく登場人物3人の性格がおもしろいです。どうしてこんなに設定がおもしろく書けるのかと毎回驚かされます。彼独自の作風なのでしょうか・・?ヤクザがらみの部分も独特で、イッキに読めてしまう素晴らしい一冊です。
ヨコケン、ミタゾウ、クロチェの3人がクロチェの父親の白鳥から10億円を強奪しようとしますが、ヤクザ、中国人組織が絡み展開が二転、三転します。10億に手が届きそうでなかなか届かずハラハラします。 続きがきになって一気に読み進めることができました。 おもしろかったです。
筆者があの奥田英朗ということで、あえて☆☆☆としたが、
<br />これを名の知らぬ新人作家が書いたとすれば、☆☆☆☆か☆☆☆☆☆にしたかもしれない。
<br />クライムノベル、スラップスティックコメディとして間違いなく平均点は軽く超えている。
<br />文章もうまいし、ストーリーのテンポもいい、最後は主人公たち3人にもう会えないのが寂しくなるぐらい、キャラも魅力的だ。
<br />素材としても、映画にするのに向いていると思う。
<br />
<br />ただ、奥田英朗は異才もしくは奇才(鬼才)だと思っているので、この程度では満足できない。最後まで軽快にさらっと読み流せて、ほとんど驚きもない。
<br />展開としても、この手のギャングものにありがちな話だし、どんでんがえしもなければ、大きな仕掛けや伏線もない。
<br />通勤電車のなかでさらっと読めるような、そんなライトな小説が好きな方にオススメします。