少華山、二竜山、桃花山と梁山泊。
<br />展開は、点からひとつの線となって広がります。
<br />魯智深は、これを面に広げる為に北の大地に赴きます。
<br />ちょっと、不器用な楊志もここからが正念場。
<br />史進の再教育や、武松の復活と登場人物が
<br />入れ替わってゆきます。
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<br />魯智深は、如何に?
<br />とうとう、追われる身となってしまった宋江はどうなるのか?
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<br />またまた次巻が楽しみです。
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歴史小説でふつうの作家が描くことを、北方謙三はまったく描きません。時代背景の説明もしない。服装や街並みの描写もしない。ただ、ひたすら、人間を描く。その人物がどういう動きをして、なにを考えているのか、それだけに筆を割いてゆきます。おそらく、調べたことの99%は、捨てているのではないでしょうか。描かなくても大丈夫であることを確かめるために、調べている。
<br />「教科書を読んだり、映画を観れば代わりがきくようなことは描かないよ。おれは小説じゃなきゃ描けないことしか描かないんだ」という、熱い叫びが聞こえて来るようです。とんでもない剛腕です。読みやすいのに、ものすごく濃い内容です。読書の至福です。