「殺人を犯し、それを隠蔽するために、次々と別の犯罪を重ねる」
<br />というストーリーはよくありますが、卓抜なプロット(主人公二人の接触と感情を一切書かない)によって、素晴らしいエンターテイメント小説に仕上がっていると思います。
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<br />亮司は自分が小学生の時に実父を殺したビルを観ながら栗原典子にこう語っています。
<br />「俺は別にショックなんか受けちゃいなかったんだよ。ただ、学習した。この世で一番大切なものは何かってことをね」
<br />亮司が「学習した」のは、実父を殺し、次々に犯罪を重ねてでも、雪穂を「守る」ことであったのか。
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<br />雪穂は、『R&Y』大阪店開店の前日に浜本夏美に対し
<br />「太陽の下を生きたことなんかないの」「…でも暗くはなかった。太陽に代わるものがあったから。太陽ほど明るくはないけれど、あたしには十分だった…」
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<br />果たして、亮司と雪穂にとっての救いとは何だったのであろうか。
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<br />※読後、冷静になって考えてみると、雪穂の極悪さに気が気がつきました。
<br /> 何人もの罪のない人達(特に篠塚美佳)を、レイプさせているのですから。
<br /> 過去にいかなる体験があろうと、雪穂の冷徹非道ぶりには決して共感はできません。
いつもはビジネス書しか読まないのですが兄に勧められてこの本を読みました。
<br />何気なくマックに入ってコーヒー飲みながら読み始めたのですが・・・。
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<br />見事ハマってしまいました。
<br />18時に読み始め、マック、ガストと転々とし
<br />次の日の午前1時迄7時間ぶっ通しで読んで読み終わりました。
<br />850ページは読み応えがあります。
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<br />まったく明るい雰囲気ではなく、ストーリーもどちらかというと淡々としたものですが、中だるみすることなく一気に読ませる内容の濃さがあります。
<br />読んで大満足の一冊でした。
質屋殺しの事件から19年。容疑者の娘と被害者の息子。二人が事件にかかわっていることはわかるのですが、二人の心情はまったく語られず、二人の接点も見えない。なのに、二人の回りで起きる血なまぐさい事件。
<br />二人を取り巻く人間の行動のみでかかれた物語なのに、その心の悲しみが伝わってくる小説でした。命を懸けて雪穂を守る亮司の純粋さに打たれました。
<br />ドラマは見ていませんが、綾瀬はるかの雪穂はイメージぴったりと思います。
<br />850ページ、楽しませてもらいました。