鎌田さんは、医者として相当にがんばっている事が、この本から読み取れます。医療がどうあるべきか、という事を考える上でも参考になる本ですが、人生を何にささげ、どれだけ頑張れるかを考える上でも役に立つ一冊です。
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<br />医者として地域医療を向上させてきた。その方向性が間違っていなかったからこうして評価されるわけだが、個人的な時間を削ってまで患者に向き合う姿勢があったからこそ、成しえた結果だと思う。
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<br />一生懸命に生きることの素晴らしさを教えてくれる一冊です。
つぶれかけていた病院の再生と地域医療に対する医師・看護師などの熱い思いが伝わってくるのはもちろんですが、患者や家族がどう「生」と「死」に向かい合うかというのが実に良く描かれていると思いました。なかでも、たぬきのおばあちゃんが「(じいちゃんが)治らない病気だと知っていたら、じいちゃんの布団の中に入って一緒にいろんな話をしてあげたかったのに」というところには泣きました。何よりすごいのは、このおばあちゃんの言葉を聞いてから、この病院が告知にこだわるという姿勢に変わった事だと思います。医師が患者から学ぶ事があっていい。謙虚な気持ちに心打たれました。
この本を読んでからは、人が生きていくことの限界(死)と言うものを
<br />謙虚に考えられるようになった気がします。
<br />それまで、死を避けてがんばって生きなければと思っていました。
<br />その思いは死んでいく人に対して、「もっとがんばれよ」って言う言葉になっていました。
<br />しかし、人間が生きているってことは生かされてるって事なんだって気づかされました。
<br />著書に出てくる人たちは、限界ぎりぎりまで「がんばって」いる。
<br />そんな人たちに無神経に「がんばれ」って言っている自分を恥ずかしく思いました。
<br />人は努力だけではなくて、いろいろな関係の中で生きているのだという
<br />メッセージをこめてある本だと思います。