人を部品としてみる現代医療に対する警鐘ともとれます。ガン患者のことを中心にまとめられた終末期医療に関する本かと思いましたがそうでもなく、著者の身の回りに起きた出来事をまとめたエッセイであることが分かりました。前半部はなかなか泣けてくる構成です。もの悲しいエピソード、人間の強さを感じるエピソード等々大変読みやすく一気に読めますが、多くの内容を盛り込んだために主題が散漫になっている気もします。<p> 人はいつか少年に戻るために今を生きているかも知れないという結びの言葉に共感を覚えました。この本はエッセイですが理想的な医療を目指すための指標にもなり得ます。より多くの医療関係者に読んでほしい一冊です。
がんばらない。に引き続き読みました。51歳の看護師のたまごの話に胸を打たれました。何を隠そう、この私も悲しい経験をバネに残りの人生を医療人として捧げたいと決意したから・・・。年齢や家庭、自分の知識や体力の限界など鉄壁だらけの目標に、決心に、心が揺れる日々の中「あきらめるもんか。」って本当に勇気をもらいました。医療人に興味はなくとも、人生についてじっくり考えさせられる一冊です。自分を大切にしたいと思える一冊になりました。
前著、がんばらない、に引き続き一気に読み終えてしまいました。全人的医療と言うことが言われはじめて久しいですが、鎌田先生のように実践されている医療現場が少ないのは残念なことです。病気を診るのではなく、人を診る。考えてみれば当然のことなのですが、現在の医学では医療技術の方に重点が置かれ、患者さんの苦しみや不安を抱きかかえるという基本的で重要なことをないがしろにしている傾向があります。まるごとの自分を受け入れて欲しい、という患さんの言葉が書かれていますが、ほんとうにその通りだと思います。doctor as drugという言葉があるそうですが、医師は薬を投与するだけでなく、自らが薬の役割を果たすことができるように努力していくべきだと感じさせられました。