犯罪者豊田の友人が何故 この本を執筆したのか?それは 死刑判決を 確定される前になんとかして 減刑を手助けできないかという 友人なら当然であろう切実な気持なのであろう。また本の出版によるかつて見ない手法。現実には 厳しい司法制度に対しての一つのアプローチとして斬新では有る。しかし内容は話が多岐に渡り 非常にまどろっこしい。オウムの尋常では無い洗脳方法 その中でもがき続け犯行に至ったであろう豊田被告。決して対岸の火事では無い。この本を購読した者は少なくともそこに興味が有るのだ。オウムを繰り返さない為にも焦点を絞るべきであった。
著者のマインドコントロールによる事件への強い危惧感を物凄く感じる作品である。
<br />ある被告との対話を元に、なぜオウム真理教は危険な「カルト宗教」と化したか、
<br />マインドコントロールにかかりやすいのはどのような人かも明確に記している。
<br />そして、このような史上最悪の事件が風化しないようにするのはいかにするか、
<br />どうすれば再発を防げるかということも盛り込んで
<br />他のオウム批判書とは少々色の違った作品となっている。
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<br />改めてオウム事件の恐ろしさを教えてくれる本である。
<br />あからさまに批判一方でない点が評価できる。
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オウムが一連の事件を起こしてから、はや10年が経つ。
<br /> 今までもオウム関連本は数多く出版されてきた。関心が無かったわけではないがマスコミ報道で知る以上の情報を特に得たいとは思わなかったので、一冊も購入したことはなかった。
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<br /> 東京大学理学部物理学科卒、同大学院修士課程修了、同大学院博士課程進学直後に出家した豊田亨。本書の主人公である。
<br /> 開高健賞受賞。著者は主人公の同級生で東大助教授。新聞に掲載された大きな広告が本書購入の主な動機である。
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<br /> 本書はノンフィクションでありながらも、著者の専門領域を交えた独自の分析がなされているため、ノンフィクション特有の躍動感にややかけるきらいがある。しかし、主人公を通して事件、そして人間そのものを究明しようとする著者の姿勢は、そうした点を補って余りある魅力を本書に与えている。
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<br /> どのような事件であれ結局のところ、本書のように当事者について本が一冊書けるくらいの分析がなされて初めて真実の究明、そして再発の防止に向けた第一歩が踏み出せるのではないか。
<br /> 限られた時間、スタッフで起訴、公判そして判決をこなさなければならない現状ではそのようなことは望むべくもないが、本書を読み終えてふと、そう感じた。
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