原作者は、もともと短期連載で纏めようと考えて急いでいたのか、単に準備期間が無かったのか、この巻で矛盾がある。言うまでも無く、FBIの捜査官のこと。
<br />アメリカ連邦の各州は、独自の司法権や警察権を持つので、基本的に他所の州に自州の警察を派遣できない。それゆえ、州にまたがった犯罪専門の捜査機関としてFBIがいる。
<br />日本の創作作品は、司法権とか警察権とか軍事とかをいい加減に書くが、FBIの活動はアメリカ国内に限定されており、なおかつ令状が無いと独自の逮捕権さえ無い。
<br />つまり、デスノートの作中のような状況で、FBIが日本にノコノコやってくることは100%ありえないし、まして敵討ちでくることなんて1000%無い。
<br />作者は、日本の警察より凄そうなFBIを倒したら格好いい、くらいの考えなんでしょうが、ミステリとして売ってるのに、いきなり矛盾を見せられていたくガッカリしました。
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<br />余談ながら、映画版では、アレンジされたシーンで某女史が銃を横に構えて撃つんですけど、これも現実にはありえない。横撃ちは、香港のとある映画が始めた架空の演出技法であって、現実にこれをやると絶対に弾が外れますので。
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<br />デスノートで許される、現実と矛盾した描写というのは、デスノートと悪魔の能力だけで、それ以外にフィクションの要素を加えたら、話の説得力が全然なくなってしまう。
<br />少年漫画とはいえ、基本的なミスがある、という点が惜しい作品。
ライトが優等生の自分を保ちつつ、キラとして次々に邪魔な人間を冷淡に消していく様子は、どこか現実味があって怖い気がします。
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<br />個人的には、南空ナオミがキーパーソンになるのかと思っていたので、あまりにも簡単にだまされてしまったことが残念でした。
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<br />これからライトとLという2人の天才がどう戦っていくのか楽しみです。
この漫画の特徴の一つは、主役級・準主役級のキャラでも、「え?なんでこんなところで?本当に?」というようなところでポックリ死んでしまうところにあります。しかもその死によって読者がわなわなと泣き崩れたりだとか、心にポッカリと穴があいたような空虚で寂しい気持ちに陥ったりだとかいうような可能性はまずありません。ほとんどアクション漫画の雑魚キャラと同じくらい、人間としての尊厳さえ与えられていないと言っていいくらい、ひどい死に方をします。だからそういったキャラにうっかり感情移入してしまうと、もしそのキャラがポックリ死んでしまったときに「自分は一体何のためにこのキャラを好きになったんだろう?」という屈辱的な感覚を受けることになります。
<br />(題名がデスノートなんだから死ぬことはわかっているが、そうはいっても死に方ってもんがあるだろ、ということ)
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<br />結局この漫画は、単に趣向の変わったサスペンスであるにすぎず、決してそれ以上の価値はなく、ヒューマニズム的な要素は全然ありません。だからキャラに感情移入なんてすることはこの漫画の読み方ではありません。この巻もそうです。