本土に撤収する友軍本隊を援護すべく遅滞防御に徹する部隊の物語。
<br />最後尾の部隊(しんがり部隊)が相手の追撃を阻害することにより、本隊の脱出を成功させるのが作戦の眼目である。
<br />ありていにいえば遅滞行動とはすなわち「時間稼ぎ」にほかならない。
<br />加えてしんがり部隊のリスクは減るどころか、むしろ上がるともいえる。
<br />リアリズムが徹頭徹尾支配する戦場における、究極の行為である自己犠牲に等しいといえるだろう。
<br />
<br />目の前が真っ暗になりそうな状況ではあるが、主人公の新城直衛は常に目的を達成し、なおかつ自らも生き残る方法を模索する。
<br />決して明るい人でもないし、そもそも明るい状況でもないわけだが、彼は逆境における楽天家なのだ。
<br />平時の楽天家は必ずしも逆境のおいて楽天性を発揮できるとは限らない。
<br />またその逆もしかりである。
<br />人にはそれぞれ使いどころや、輝く状況があるのだなということを実感した。
原作が「改悪されているのではないか」という恐怖に震えながら買っ
<br />た1巻が良いほうに裏切られて、続いて買った2巻。
<br />相変わらず見事です。
<br />確かに原作とは違ったところはあります。
<br />が、しかし違和感がない!
<br />もし原作で書かれていたならこの漫画のような描写になっていたので
<br />はないか、というくらい違和感がないです。
<br />原作のあるものを漫画版やドラマ版、アニメ版にすると、酷いのにな
<br />ると、作品名と登場人物名、大まかな設定を原作から持ってきただけ
<br />で中身はまったく別物、原作者を馬鹿にしているのではないかと思わ
<br />れる作品が大手を振ってまかり通る中、この作品は原作に忠実でわか
<br />りやすく、かつ違和感のない独自描写もある原作に対する愛が感じら
<br />れる読んでいて気持ちよい(グロシーンのことは言ってません)作品
<br />です。
<br />3巻が実に楽しみです。
<br>海洋によって隔てられ、 <br>長年平和の中にあった新興国「皇国」に対して、 <br>突如大陸から超大国「帝国」が侵攻を開始した。 <br>主人公の新城直衛は皇国の中尉として帝国を迎え打つ。 <br>第二巻では負け戦による北領からの撤退戦で、 <br>新城中尉は隊を率いる者としての責務を果たす。 <p>二十世紀初頭のような時代設定でのリアルな戦争の中で、 <br>本作では最前線の隊長という、 <br>上司としての立場、 <br>部下としての立場、 <br>そして一人の人間としての立場、 <br>という異なった三つの立場有する、 <br>複雑な軍人の心理が丁寧に描かれていて、 <br>納得させられる作品です。 <br>次々とやってくる決断の時、 <br>その決断の裏には様々なものが隠されて、 <br>その全てを知ることができる読者の胸には、 <br>熱いものが込み上げてくるでしょう。 <p>戦争物が好きな方はもちろんのこと、 <br>そうでない方も組織の中での自己の立場のあり方、 <br>について興味がある方にもおすすめの作品です。