最近私の身近な人が『ブラック・ジャック』を読み返していて、ふと漏らしたのが、『ブラック・ジャック』って、どの話も短い! という一言。しかも短い印象がない、と…そう言えば、アトムの各編も短い。本作の原作に当たる「地上最大のロボット」もね。
<br /> ご存知の方はご存知でしょうが、西原理恵子が『営業ものがたり』の中で、「浦沢ってのは漫画と一緒で話がながいんだよ」と言って散々にコケにしています。本作の第1巻が出た頃、浅田彰もどこかでそんなことを言っていたように記憶します。確か、『PLUTO』なんて、「地上最大のロボット」を読んでおけば済む話で…みたいな、浅田らしい嫌味な言い方でしたが。
<br /> どちらのコメントも、私は文字面として理解していても、本当にはピンときていなかったのです、残念ながら。それが今回、上記の次第で「あ、そーか」体験をしたワケです。
<br /> 浦沢作品って、やっぱり長いんですよ。長すぎるんですよ。逆に言えば、浦沢の他作品って、手塚が描いたらどれくらいの長さになるか、っていう問題です。
<br /> もちろん、時代が違うという答え方はあると思います。マンガの現在が、作品にある長さを要求しているような印象もあります。作品論的な問題だけじゃなく、マンガ産業論としても、読者論としても,一考に価するように思います。
<br /> しかしそうなると、やっぱり『営業ものがたり』に収められた西原版『PLUTO』(「うつくしいのはら」)の簡潔さは何とも素晴らしい…浦沢敗れたり! って感じ。
ロボットが人間の生活に入り込み、そこで権利を得ていく……。
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<br />言わずもがな、手塚治虫「鉄腕アトム」の大きなテーマであるが、浦沢直樹は現代風にアレンジしている。
<br />「X-men」のミュータントの思想を取り入れたのだ(X-menもアトム並に古いが、日本で広まったのは最近)。
<br />表現も現代の映画風の演出をしっかりこなしている。これも映画に大きく影響を受けた手塚に倣っている。
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<br />おまけについては異論があるので、純粋にお話を楽しみたい人は通常版でいいでしょう。
前面浦沢パワーで推していた1、2巻とは徐々に様相をていし
<br />手塚治の原作の色が匂い立ちだした本巻。
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<br />『浦沢直樹は手塚治を凌駕できるのだろうか』
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<br />原作にひっぱられてアトムやウランの出番が増やしすぎずに
<br />どこまでいけるのか今後の展開が非常に気になる。
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<br />原作ものは俄然強い浦沢氏の力に期待
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