山を題材にした作品は数多く見かけますが、この作品は山岳救助をメインストーリーとした異色の作品です。
<br />最近、掲載のペースが早くなり3巻目が出ました。とても喜ばしいです。
<br />主人公、島崎三歩の
<br />「良く頑張った」「あやまらない。あやまらない」「ようこそ(北アルプスへ)」「また山においでよ」
<br />・・・常に全ての人を励まし歓迎し赦しそして再会を促す・・・
<br />そうした言葉の一つ一つが今の社会生活を送る上でも重要であることをしっかりと明確に伝えてくれます。
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<br />山は楽しいばかりではない、特に自然の猛威に対して人間はちっぽけな存在であること。
<br />「山を登りに来たあなたのこと忘れないよ」という言葉を20年前に知っておけば、私の山行きはもっと豊かだったかも知れません。
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もう三巻目だし、最近雑誌に載った話しが多いし、そろそろ読んでいて飽きるかなと思ってページを開いたのですが、また、やられてしまいました。
<br />読んでいたら、涙が勝手に出てきたよ。
<br />三歩のお姉さんやお父さんも出てきて、かなりウェットな話しになりそうなのに、淡々としたトーンで話しが進んでいくところは変わらず。
<br />それでも、飽きずに読み進めていくことができるのが「岳」のすごいところです。
<br />私は山登りなんてちっとも好きではない。
<br />学生の頃、遠足で行く山登りさえ大嫌いでした。
<br />山を描いた漫画も正直いって好きなものはないのですが、「岳」だけは別なんだよな・・・
<br />確かに山について描かれた話しですが、もっと奥が深い人間が描かれているんだよな。
<br />だから、この話しが好きなんだろうな、私は・・・なーんて、自問自答しながら読み進めた三巻でした。
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3巻も素晴らしい内容でした!
<br /> この作品は多くの登山者達の「死」が描かれているにもかかわらず、読後感は決して重苦しくならず、爽やかな気持ちにさせてくれます。
<br /> 三歩君が、幸運にも生き残った人、また残念なことに死んでしまった人、どちらにも優しく「良く頑張った」と声をかけてくれる場面に大きく心を揺さぶられます。
<br /> 死の直前まで生きることを「頑張った」のであろう人々に三歩君は優しい眼差しを向けてくれます。
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<br /> 私は、生き残った人たちが、またいつか山に戻ってくれることを願わずにいられません。
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