松本大洋さんの作品は好きでコミックスは全部持ってます。彼の作品の凄い所は全ての作品が全く違う世界観をもっている、という所だと思います。今回の作品も漫画というより芸術のような世界に圧倒されました。<br />さて、今回の漫画の主人公は化け物のように強いが変わり者で甘党の侍の話。(どこかで見たような…?)松本大洋初の時代劇物です。まだストーリーは動き出したばかりではありますが、物凄く引き付けられる作品ですね。<br />ぱっと見、読みにくい漫画だと思う人もいるかも知れません。ですが、ひとコマひとコマ、じっくり絵巻物を見るつもりで読んでみて下さい。作者の芸の細やかさ、鬼気迫る筆使いに魅了されることでしょう。<br />オススメです。ぜひ読んでみて下さい。
宗一郎が生まれてはじめて蛸を見て、ポーズをとりながら
<br />「全ての箇所がいっときに伸縮し、とどまることがない」
<br />「貌(かお)もまた珍妙だに。鼻や口はどうなっとるんだら?」
<br />と感想をいちいち述べるくだりに、主人公としての魅力が詰まっています。
<br />相手する蛸売りも、
<br />「きょうび、蛸ぐれえでそんな…」
<br />とあきれます。
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<br />宗一郎が、全てを分かっているのか、何も分かっていないのか、
<br />人間なのか、実は妖怪なのか、全く分からず、そもそも、このマンガが
<br />何を描こうとしているのかすら分かりませんが、とにかく面白い事は間違いありません。
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<br />奥様である、冬野さほさんの影響が大きかったのか、今作での松本大洋の
<br />画風は大きく変わっています。今までのファンからすると複雑な心境かもしれませんが、
<br />私個人の感想をいえば、今までの絵にあった、「いやみ」のようなものがスッと抜けて、
<br />実に素晴らしい絵になりつつあると思います。
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<br />この後、何十冊出ても買い続けようと思いますので、現代の「浮浪雲」「三丁目の夕日」
<br />「こちら葛飾区亀有公園前派出所」「ゴルゴ13」目指して、超長期連載をお願いします。
松本大洋の作品をそんなに沢山読んだことがあるわけではないけれども、彼のディテールに
<br />対する愛情、というか、存在そのものに対する愛情が画面全体に散りばめられていて、心地よ
<br />く歪んだ天地、世界、平面と立体とを自在に行ったり来たりする世界が、最高だ。自由だ。
<br /> んで、主役の侍さんの好奇心、観察力、異様なほどの運動神経、が、優しく、緩くもある、静かな世界に、程よい量で切れ味よく狂気を持ち込んでて、良い