少し古い言葉かもしれませんが「逆転の発想」という印象を強く持ちました。
<br />「初めに般若心経ありき」ではないのです。黒地に白字のネガ的活字で、「天の声」「宇宙の声」が浮き彫りにされているのです。世の常の漢字版に現代語訳を付した解説ものではありません。確かに巻末には英訳まで付した原文と読み・意味は載せていますが、本書のねらいは「詩とし読む般若心経」ではありますまいか。優しく響く散文詩です。
<br />
<br /> お聞きなさい
<br /> あなたも 宇宙のなかで
<br /> 粒子でできています
<br /> 宇宙のなかの
<br /> ほかの粒子と一つづきです
<br /> ですから宇宙も「空」です
<br /> あなたという実体はないのです
<br /> あなたと宇宙は一つです
<br />
<br /> この一節の下に原文「是諸法空相」が付記されています。このいかめしいキーワードをかみ砕いて、詩にしています。作者は科学者のようですが、限りなく詩人に近い詩心の持ち主です。単なる叙情詩人でないところが、現代的です。この仕事が「天から命ぜられたもの」と感じた著者は、天啓を受けた類い希な運命の人のように思います。
<br />
<br /> 心洗われるような「般若心経心訳」の最後「ぎゃてい ぎゃてい…」を「心読」するのです。
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<br /> 行くものよ 行くものよ
<br /> 彼岸に行くものよ
<br /> さとりよ 幸あれ
<br />
<br /> これで
<br /> 智慧の完成の言葉は
<br /> 終わりました
<br />
TVで取り上げられてこの本の存在を知りましたが、著者の柳澤桂子さんも
<br />それよりもっと以前にTVのドキュメンタリーになっていて知っていました。
<br />彼女のとてつもない逆境、負わされた試練には驚かされたものです。
<br />
<br />その柳澤さんが書いた本ということで、書店で手に取りました。購入を
<br />決めたのは般若心経本文とその意味、そして英語訳が載っていたからです。
<br />日本語の意味は文語調で分かりにくく、英語のほうがすんなりと頭に入って
<br />きます。もちろん柳澤さんの解釈に比べると四角い感じは残りますが。
<br />
<br />柳澤さんの般若心経解釈は空間の広がりを感じさせます。今は健康体の
<br />私なのでこの内容を体で理解するのは難しいです。
<br />後一歩動いたらあちら側に転がり落ちてしまう状況に置かれた時に必要と
<br />する本なのではないでしょうか。
<br />「軽い気持ちで買ってしまってすいません」という心境です、、、。
<br />
<br />『野の花のように私達も生きられるのです』というくだりは
<br />『ジョニーは戦場へ行った』という古い映画を思い起こさせます。
<br />想像しただけで怖い世界ですが、それを自然体で受け止められるように
<br />なった時、柳澤さんの般若心経を真に理解したことになるのでしょう。
<br />
<br />仏教に限らずチャンツというものに興味があります。自分でも唱えられる
<br />ようになりたいので、この本にCDがついていたらなぁと思います。
<br />(周りには迷惑かもしれないけど)CDをかけっ放しにして門前の小僧の
<br />ように自然に覚えられたらいいですよね。
<br />こういうチャンツは心を落ち着かせてくれます。
般若心経と言うものはお坊さんのお経でしか知らなかった。
<br />初めてそのお坊さんが読んでいる元に触れた。そしてまさに自然科学者の柳澤さんが到達した悟りから導かれた現代語訳に接する事が出来た。
<br />慾であるとか恨みであるとか全くもって自分次第なのである。そこには第三者などは必要なく、己が感じえる全てが自己を形成しているのであろう。
<br />偶像崇拝でない信仰心はやはり日本人に適しているように思う。
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<br />英語訳も付いていて外国人に説明するには便利かも。
<br />ちなみに本文は10分あれば読めます。
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<br />やはり宗教も大きな心脳問題(物質である脳が心を生み出す)なんですね、養老先生や茂木さんが宗教に興味があるのが分かります。