星野道夫氏が撮影した写真と、1985年〜1997年に発表したエッセイにより構成された文庫本。著者のアラスカとの出会いを中心に構成されている。
<br /> 著者がアラスカで出会った若者を通して、自分がいかに薄っぺらい世界で生きているかを認識させられた。物質的な富こそ求めないし、テレビにも浸らないが、本当の世界に触れようとしない多くの人間の中の一人である自分の姿が浮き彫りにされる。そして、深い闇を避けて生きている自分を思った。
<br /> 「木も 岩も 風さえも 魂をもって、じっと人間を見据えている」というインディアンの神話の一節が引用されている。今、生きている環境に居心地の悪さを感じるのは、木や岩のような魂をもって、じっと見据えてくれる存在が乏しいからではないだろうか。
<br /> 「行く先が何も見えぬ時代という荒海の中で、新しい舵を取るたくさんの人々が生まれているはずである。アラスカを旅し、そんな人々に会ってゆきたい。」と語る著者の言葉に応え得る人々が日本に何人いるのであろうか。
<br /> 壮大なアラスカの自然や動物、植物たちを写した美しい写真の合間に、心の奥底まで響くような言葉がちりばめられているエッセイ集、写真も言葉も美しい。これからの世界を担う青年たちにお勧めの一冊。
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著者の星野道夫さんのことは、ドキュメンタリー映画「ガイアシンフォニー」で初めて知ることになった。アラスカに長く在住していた彼の撮る写真からは、活き活きとしたアラスカの大自然を垣間見ることができる。掲載されている写真はどれも美しい限りでかなり癒される。彼の手記も載っていて、アラスカに生活する人々や生息する動物、自然についていろいろと知ることが出来た。自分は自然が大好きなので、アラスカの厳しくも美しい自然を体験したくてたまらなくなってしまう。都会での生活にあくせくしている人にも是非読んでもらいたい。現実逃避??の一冊にどうぞ(笑)
アラスカの四季を追った写真と、その自然に身を委ねて生きる人物群像についての語りで構成されている。写真と文章が表裏一体になり、読み終わった後、星野の見据えた「アラスカ」とはどんなものだったかが伝わってくる・・。ひとつひとつの写真に添えられている文章も、その写真にぴったりの語りで写真と一緒に楽しめる。