「海辺のカフカ」、「ねじまき鳥クロニクル」・・・というような最近の作品から読んできたためこの作品は私にとってショックなものでした。
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<br /> 「私」と「僕」が見事にクロスしていくさまや、引き込まれ、圧倒される村上氏の独特の世界観など上記の作品と同様完成度の非常に高い作品でした。
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<br /> しかし、非常に個人的な見解としてはラストの終わり方だけはどうにも納得のいくものではありませんでした。ずいぶんと内向的なものだったように感じました。
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<br /> このように言いましたがすばらしい作品にはかわりません。とても楽しめ、考えさせられる作品です。多くの人が読まれることを願います。
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この小説の世界は独特のものの味がする小説だった。
<br />とにかく春樹氏の小説の中では一番読むのがカッたるい小説だと思う人は多くないのではないかと思う。
<br />この箱庭の世界は安部公房の壁がディティールがモチーフになっていると推察する。
<br />色んな憶測が書評家が書いているがたいした意味はないと思う。
<br />私は単にエンターテイメントをぎゅう詰めにした作品に仕上がっている
<br />と思う。
<br />とにかく世界観は一睡の一言に尽きる。
『世界の終わり』 と 『ハードボイルド・ワンダーランド という一見何の関わりも無さそうな物語が交互に進行していく。
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<br />前半では、『ハードボイルド・・・』 の摩訶不思議な空想科学世界と軽快なテンポのストーリー展開が楽しめるのに対し、『世界の終わり』 は暗く、静かで、退屈であり、読むのが苦痛ですらあった。
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<br />ところが一転、後半では 『ハードボイルド・・・』 が最後の一点に向けて収束して行くのに対し、『世界の終わり』 は突如として動き始める。
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<br />凍えるような冬の夜の図書館で 「夢読み」 の謎が解き明かされる場面の何と幻想的なことか。
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<br />また、門番から逃げるシーンなどは、手に汗握るほどの緊迫感がある。
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<br />そして意外な結末に 「なぜ?」 という疑問が残る。
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<br />この割り切れなさ、後味の苦さがあとを引き、強く印象に残るのである。
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<br />今や 『世界の終わり』 は、私の最もお気に入りの物語となった。