この人の作品って何か変態の匂いがプンプンします。この三島由紀夫って人自身、変態だったんじゃないかな。じゃなきゃ登場人物の様な心理描写、絶対表現出来ないしっ!!
全ての文章がしっかりとしたベクトルを持って、強い圧力を伴いながら読者に向かってくるような、そんな小説です。
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<br />主人公も老師も柏木も鶴川も、登場人物全員が深い影をどこかに抱えながら、それぞれに影響し合い複雑な小説世界を描き出していきます。
<br />そして、その渦巻く人間関係の中で主人公は「美」の本質について悩み抜き、最後は金閣放火を極限とした行為に向けて突き進んでいきます。
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<br />主人公の金閣に対する美の認識は、想像から現実へ、直観から経験へと移り変わりながら、最後は再び夢想的な金閣に対する直観的な行為へと収斂するわけですが、この最後の金閣放火へと向かう主人公の心理描写は見事としか言いようがありません。
<br />金閣という「美」の全てをあらゆる角度と視点から、あらゆる空間軸と時間軸から認識し尽くした主人公が、その「美」へ対する「行為」という形で自分と金閣との関係を昇華(消化?)しようとする心の動きをはっきりと描けること自体、やはり三島由紀夫は天才だったと言うしかないのでしょう。
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<br />美の追究の仕方がいかにも三島的であることにある種の嫌悪感を感じる部分が無いとは言えませんが、それでも近代文学における金字塔の一つとしてこれからも確実に読み継がれていく作品であることは間違いないと思います。
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<br />こういう「本当の名作」はまた10年後、20年後と時間をおいて何度も何度も再読していきたいものです。
どもりで、ルックスにも自信がない溝口は、人生に希望を持たない。
<br />・・・ある日、女性と関係を持とうとするが、金閣の幻影に包まれ、行為は失敗に終わる。
<br />金閣は、性欲を満たすという人並みの幸福さえ許してくれない。
<br />やがて、美の象徴である金閣を焼く。
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<br /> 登場人物の性格設定や心理描写が緻密。完璧。
<br />主人公は金閣の恐れ、美しいものに対する嫉妬から自身を救う手段として、火を放つまで無駄がない。
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<br /> ・・・余談だが、僧侶って、芸者遊びするのか?
<br />ちょっと、ショックだ・・・