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葉隠入門 ( 三島 由紀夫 )

共産主義に殉じて死ぬのがイヤなように、武士道に殉じて死ぬのはイヤ。そんな気がします。三島さん自身も死んでしまってますが、死ぬ必要も、理由もない犬死でした。 <br /> <br />最近、武士道ブームがあって、少し興味を持って、葉隠自体も読んだし、新渡戸さんの「武士道」も読みましたが、宗教的な思想によってしか、人は死ねないと思いました。救いがないからですね。 <br /> <br />事実、死んだ日本人は大東亜戦においても多くいるんですが、あれは死んだというよりは、死なされたって感じがします。「硫黄島からの手紙」という映画を観て、洞窟の中で日本兵が半強制的に集団自決するシーンがあるんですが、まさにコレだって思いましたね。 <br /> <br />武士道は、日本人のごく一部の人たちの思想でしかない。しかも、武士の時代というのは、軍事政権による軍事独裁ですから。そこに憧れはありませんし。

 あくまでも、三島由紀夫の著した「葉隠」の解釈本であって、「葉隠」そのものかどうかはわからない。 <br /> 自決する数年前に書かれたというから、「葉隠」を通じて三島由紀夫が自分の考えを吐露していると理解した方がよいのではないかと思う。 <br /> <br /> 「武士道というは死ぬことと見付けたり」「武士道は死狂い」これを狂気を含んだ表現とみるのではなく、真剣に毎日を生きよというメッセージであると三島由紀夫は解釈しているが、ご本人は数年後に自決している。皮肉というか何というか・・・・・、やはりトコトンまで突き詰めると死ぬしかないということか。何か複雑な気持ちだ。 <br />

ある研究書に拠れば、武士道は大和魂ではない。三島先生も、封建道徳に染まった人が読んでも分かるまいとおっしゃる。<br /><br />自己を英雄視したいのは、お子様の感情です。葉隠は、大人の男のダンディズムだと思います。女子供ばかりが、自己保身的な偽善保険をかけて廻る。それを見逃し、聞き逃してやるという粋な計らいを体得したいですね。<br /><br />これは山本常朝と三島由紀夫の禅です。エッセンスを掴めば、後は知行合一。全体系を認識するまで行動しない、なんて奇妙ですよね。<br /><br />全て行動と体験だけで学んだ、と言えるのは格好良いですが、嘘になります。要は、こうして説教する事が時間の無駄であり、破廉恥になります。武士はただただ我一人!行動の世界は、孤独なものです。だからエゴティズムなのです。奉公人といっても、豚の安心ではない。私見ですが、武士道だけでなく弁護士道的な面が多いので、普遍性はありますよ。<br />シュルレアリスムでは矛盾がそのまま活きるように、古武術の研究家が言うように「葉隠」は矛盾が生きる美学です。豪胆な決断と明快な行動は、玄人はだしの死狂いなり!大変な課題ですが、最高の思想だと思います。

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葉隠入門&nbsp;『葉隠』は、佐賀鍋島藩に仕えた山本常朝が、武士道における覚悟を説いた修養の書である。太平洋戦争時に戦意高揚のために利用され、それゆえ戦後は危険思想とみなされることもあったが、その世間知あふれる処世訓は、すぐれた人生論として時代を越えて読み継がれている。 <p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;本書は、『葉隠』を座右の書とする三島が、抜粋した名句からエッセンスを抜き出し、中核をなす「死の哲学」に解釈を加えたもので、『葉隠』の魅力と三島の思想が凝縮された1冊になっている。 <p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;武士といえども藩の組織人であり、彼らに説かれた処世訓は今の企業人にそのままあてはまるものが多い。トップの決断の仕方、上司や部下をうまく操る方法、立身出世の条件、リストラの仕方、仕事の優先順位の決め方などは大いに参考になるはずだ。また三島による「準備と決断」や「精神集中」などのエッセンスは、このノウハウが小手先から出たものではなく、並々ならぬ覚悟から生まれていることを教えてくれる。ほかに恋愛論や子どもの教育論などもあり、生活全般におけるユニークな視点を見つけることができる。 <p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;三島は『葉隠』を、死を覚悟することで生の力が得られる逆説的な哲学としてとらえている。「死という劇薬」が生に自由や情熱、行動をもたらすとし、それらが失われている現代の生に疑問を投げかけている。本書が書かれたのは三島が自決する3年前の昭和42(1967)年。三島を「行動」に駆り立てた思想の一端に触れることができるだろう。(棚上 勉)
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