この1月に木村拓哉主演でドラマ化されるということで、購入しました。
<br />物語は、都市銀行10位である阪神銀行のオーナー家にして、鉄鋼・不動産・商社等の関連企業で万平財閥を形成する万平家での、家長と長男、本妻と愛人等の愛憎劇に、銀行合併、鉄鋼会社の巨大投資等、経済のダイナミクスを絡めた、著者ならではのドラマチックな1冊です。
<br />冒頭こそ、メディアの発達した現代では信じられない「妻妾同居」「結婚による閨閥作り」等々のエピソードに、読みにくさも感じるのですが、読み進めていく内に、銀行合併をめぐる政官入り乱れた虚虚実実の駆引きや、数百億に昇る投資資金の融資引出し等、取材に裏打ちされた、著者ならではのドラマ性に引き込まれ、ついつい夜更かしして読んでしまいます。
<br />著者のファンや、金融関係の面白いノンフィクション好きな方にはお奨めの1冊です。
この「華麗なる一族」は「白い巨塔」の金融界版ともいうべき本で、
<br />でも「白い巨塔」より専門的な話は少なく、
<br />政・官・財の恐ろしいまでの癒着と計略とおぞましさを垣間見れる、
<br />非常に読みやすくておもしろい本だ。
<br />ただそれだけに、「善悪」がはっきりしているので、「白い巨塔」のような奥深さはない。
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<br />それと今、読むと、もう銀行は随分淘汰されてしまったので、
<br />銀行合併というのが一昔前の流行に思えてしまうところが、
<br />「白い巨塔」のような医療ミスのタイムリーさはないが、
<br />それでもこの作品のなしえる力と、今もこれに似たような策謀が、
<br />どこかで行われていても不思議ではないことは感じられる。
白い巨棟を読んだとき、これほどまでに書ける
<br />ここまで緻密な女性がいるのかと、わたくしは疑ってよみはじめて、、、
<br /> それから華麗なる一族へとわたくしの指は動いたのだ。
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<br />財産系列というのは人をここまでみにくくするものなのかと。
<br />若かったわたくしは一時人間不信にさえなりそうだった。
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<br /> いつの世も、特に今のよのなかはけして美しい国ではない、この日本という地域で
<br />人と人との愛憎があからさまになり、あーまたかと心安らかでないほどの
<br />名作である。ゆっくり読んで頂きたい一冊である。
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