都市銀行を中心に、万俵財閥を形成する万俵家の「一家の愛憎劇」と「経済界の激動」を両輪に描いた作品ですが、第2巻では、ついに「一家の愛憎劇」が「経済界」にまで影響を及ぼします。
<br />家長たる父に疎まれた、鉄鋼会社で専務を務める長男は、「高炉新設に伴う莫大な投資」に伴い、次々に発生する資金ショート、建設事故等の難関を乗り越えられるのか。「結婚により、現総理にもつながる閨閥形成」に反抗する次女はどうなるのか等々。
<br />万俵一家を襲う数々の事件も佳境に差し掛かり、やめられなくなる面白さを持った2巻です。
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銀行合併にかかる銀行家の父の冷徹さ、狡猾さ、一方で鉄鋼マンたる技術屋の長男の経営に対する甘さ。
<br /> 私には長男鉄平やライバル行の三雲頭取の経営者としての甘さが浮き彫りとなっていく様子が実に興味深かった。
「白い巨塔」、「大地の子」、「不毛地帯」、「沈まぬ太陽」どれをとっても、引き込まれる主人公像と取材力に脱帽です。この作品は銀行合併をめぐり、様々な人間模様が描かれているのですが、現代の銀行再編のきっかけがこのようなものだったのかなぁ・・・と(フィクションではあるけど)。山崎豊子の作品はどれも引き込まれるものばかりであっという間に読めてしまう魅力があります。どの作品も関連作品を探さずにはいられないです。長編ばかりですが、時間を忘れて一気に読ませてしまうすごさに脱帽です。