<br />圧倒的なインパクトのあったアニメ版映画「パプリカ」を見た後に購入。
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<br />映画と比べると、エロティックな味付けや、
<br />「オヤジの願望」みたいなエッセンスが全編に盛り込まれていたが、
<br />奇想天外なストーリー展開は絶品。
<br />読んでいくうちに、現実と夢の境目が分らなくなってしまう。
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<br />映画と併せて楽しまれるといいでしょう。
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高校生のとき、俗物図鑑などグロテスクなものにはまりましたが、それ以来ご無沙汰でした。アニメ化という帯を見てあらすじを読んで買いました。久しぶりの筒井節でした。途中まではふうんという感じで読んでいたんですが、DCミニが消えたあたりからがぜん面白くなりはじめました。それからはあっという間です。後半からは怒涛のごとく本領発揮の面白さ。
<br />アニメになったら面白いだろうなあと楽しみです。
筒井の美少女エンターテインメント路線の一作。前半のパプリカによる夢分析の描写は筒井にしては平凡である。作中でフロイト、ユングを貶しておきながら、結局夢の解析によって人間の深層心理を探るという手法はフロイトの域を出ていない。パプリカの分析結果もありきたりで想定内である。
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<br />DCミニによって夢と現実の区別が曖昧になるあたりから筒井の本領発揮である。特に、作中にも触れられていた映画「蠅」のように、夢から現実へ物質移動が可能となると、もう何でもアリである。人間の抑圧された精神が怪物を産み出すというのも筒井が昔から良く使う手法で、今回はギリシャ神話の怪物を多用している。しかし、それらより日本人形の方が怖さを醸し出すというのは日本人の情緒に訴える所が大きいのだろう。本作では一応パプリカ側が正義の立場にように見えるが、作者が必ずしもそう書いてはいない事に注意したい。夢と現実と正義は混沌としているのである。
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<br />余談だが、私は昔コード名「グリフィン」という製品の開発に携わっていた(日の目は見なかったが)。それでグリフィンの登場に笑ってしまったのである。