世に有名なハンニバルの戦略。それに翻弄されるローマ帝国。
<br />史実の記載ですがまるで物語のように楽しめる序盤の山場部分になります。
<br />小型の本なので通勤電車用に購入したのですが、家でも休み時間でも読み続け、3冊が2日で読み終えてしまいました。。
第1次ポエニ戦役を描いた本。
<br />イタリア半島を統一し、それ以外の土地についての侵略など考えもしないローマが、なぜ、シチリア覇権をめぐってカルタゴと争うこととなったのか等、生じたことに対する理由がはっきり示されており、事実と結果だけを書いた教科書では決して学べない歴史を学び取ることができる。
<br />1,2巻の評価は星4つとしたが、ハンニバル戦記を扱った3〜5巻は、単なる物語としても充分おもしろく、そのために星5つをつけさせてもらった。
ローマ人の物語、文庫版第3巻では、カルタゴとの戦争を描く。第一次<br>ポエニ戦役だ。<br>アフリカ大陸北部を本拠とする強国カルタゴと、かなり大きく成長してきた<br>ローマ。まずは、シチリア島の攻防である。<br>なぜ、強大なカルタゴと全面戦争に突入するに至ったのか、そして、シチリアを<br>めぐる戦いは、どう進んだのか、わかりやすく書かれている。<br>急遽、即席の海軍をつくることになったローマの奮闘ぶりがおもしろい。<br>「陣形も組めてないじゃん」と海上でカルタゴに笑われるありさま。<br>でも、ローマは、「海でまともにやりあったら負けるから、相手の船に<br>乗り移って、陸上の戦いみたいにしてしまえばいい」と考え・・・<br>大嵐で遭難したり、カルタゴ軍の象にふみつぶされたり、とぼろぼろに<br>なっても、それに着実に対処していく様子が見もの。<br>ローマは、自分たちのダメだったところなどを、ちゃんと克服していくのだ。<br>自分たちのやり方を確立しつつ、状況に柔軟に対応したからこそ、勝てたのでは<br>ないか?<br>ローマとカルタゴの一進一退がおもしろく読めて、塩野さんのローマへの<br>愛情も感じられる本。<br>字も大きく読みやすい。