父ハミルカルの仇をうつ意味もあって対ローマに燃えるハンニバルの大活躍から、本書は始まる。
<br />スペインから、北回りで伝説のアルプス超え(象も一緒に)を成し遂げ、
<br />まさかのイタリア進入を果たしたハンニバル。
<br />情報収集で相手をつかみ、地形を調べ、巧みな戦略によって、ローマ軍団をやっつける。
<br />ハンニバルの戦術と策略に見事にはまり、容易に戦士を補充できなくなるほど死者を出すローマ。
<br />国家存亡の危機に、なんとかふんばり、あの手この手で奮戦し反撃してゆく様子が見もの。
<br />執政官が次々に対ハンニバル戦で斃れる中、戦闘に参加していたのはまだティーンのスキピオであった。
<br />20台半ばとなった彼は、執政官でも議員でもないのに、軍を率いる権利を手に入れ、スペインで活躍を始める・・・
<br />スキピオの今後の活躍が楽しみなところで本書は終わる。
<br />字も大きく読みやすい文庫である。戦いの記述が非常に多いため、陣形の図なども入っている。
歴史には、しばしば英雄が登場するが、同時期に英雄が揃って登場するのは稀である。<br>この第2次ポエニ戦役の主役となるのは、カルタゴの「ハンニバル」とローマの「スキピオ」のふたりの英雄である。<br>このふたりが刃を合わせる事がなかったのは残念であるが、同時期に活躍した偉人として比較するのは、興味深いしおもしろい。<br>また、領土を侵される劣勢に立たされながらも、次々と策を案じ、的確な人事と対処を怠らなかったローマ人の気質は、今にもつながる教訓を与えてくれるとともに、この本の読みどころでもある。
いよいよアルプスを越えてローマとの戦いにいたるハンニバル!たくみな心理戦や誘導作戦で次々とローマを撃破、ついに最大の決戦カンネーにいたる。だが、この戦い、わずかに生き残った兵士の中に10代のスキピオがいた。スキピオはスペインに渡りハンニバルの戦術をもってカルタゴを破る!二人の天才、ハンニバルとスキピオがそれぞれに来るべき決戦を目指す!