歴史上、皇帝カリグラは暴虐の果てに近衛軍団に見放され、報奨金目当てに暗殺されたことになっている。<br>しかし作者は詳細な研究により、暗殺を実行した近衛軍団大隊長ケレアが、カリグラの父ゲルマニクスの忠臣であり、カリグラを幼少期からまじかに見続けていた人物であったことを突き止め、そこから大胆な推理を働かせている。<br>そしてその推理は、皇帝暗殺という大罪を実行したケレアとその同士サビヌスの以後の行動~従容とした死罪の甘受と近衛軍団の皇帝への服従~を説明するのに最も妥当なものであり、ケレアはカリグラを最も愛した者であったからこそ、自らの命を投げ出して暴君と化したカリグラを処断したのだ。<br>作者自らが述べているように、推測は推測でしかないが、歴史を血の通った人々の営みとして看破する作者の技量に感服せざるを得ない。
ただの気の狂った皇帝かと思っていたカリグラですが、塩野七生の手によって頭の良かった、しかし若くして権力を手にしたため人気取りに走ってしまい、失敗した「一人の人間」が鮮やかに描き出されています。<p>国家のリーダーが民主的な手段によって選ばれるようになった現代、カリグラのような人に国家の舵取りが任せられる危険性が大いにあるのでは、と考えさせられます。<br>また、もし選挙が行われたとしたらティベリウスは間違いなく落選していただろうという著者の言、民主主義の良し悪しについて改めて考える契機ともなりました。
ローマ帝国三代皇帝カリグラ。<br>カリグラってどこかで聞いたことある響きだと思っていたが、映画だったのか。<br>かなり過激な映画らしい。<br>映画の方が気になるぞ。