自分のすむ国ではどのような殺人事件があったのか?
<br />という疑問からこの本を読みました。
<br />海外の事件はよく知っているけどみたいな、人にはお勧めです。
<br />
<br />証言をもとに話が進みます。
<br />犯人の年齢ごとに物語があり途中からとまりませんでした。
<br />
<br />犯人の風景はいろいろな物語のモデルになっており、昭和という時代の光と影を強く感じました。
<br />閉鎖的、集落、女、家族などが複雑に絡み合っていきます。
<br />そして人として人間としての原点がありました。
<br />殺人というよりは悲劇という感じを感じました。
<br />自分としては「これでも人が殺せますか?」という思いです。
<br />殺人が簡単に起きてしまう現代こそ読むべき本だと思いました。
<br />
内容に古さを感じるのは、事件が起きた昭和13年当時の記録や証言を多数引用しているためで、若い読者はそこに読みにくさを覚えるのかもしれないけれど、逆にそれがこの事件の舞台であり背景となった村とその時代とをリアルに想像させる。
<br /> 横溝正史が『八つ墓村』のモデルにしたということとは別に、この事件は病気がちな体や不遇な家庭環境、閉鎖的な村と人間関係、あからさまな性への興味などなどが重なり、しだいに犯人の人格がむしばまれていくさまが記され、興味深い。
<br /> 今で言えば、たぶん一種の人格障害とされたであろう犯人の被害妄想による犯行は、そこにいたるまでの重苦しい情熱を思わせ、舞台を現代の都会に置き換えてみるといっそう怖かったりもする。
<br /> 人格がまっとうに育つことの難しさを考えさせるという意味では、近年多く出版される異常犯罪レポート本のさきがけともいえる。
<br /> ちなみに、本を読みなれている人なら、べつに読みにくくはありません。私はけっこう面白く読みました。
『八つ墓村』(横溝正史 著)のモデルになったこの事件は、小説や映画を超えた恐ろしい事実であった。一夜にして、一人の男が30人の命を奪った。たった2時間足らずで...。
<br />
<br /> なにがそうさせたのか、自害してしまった犯人からは聞き出せない。確かに家庭環境、村社会、病気、性の問題など動機になりうるものはいくつかあるようだが決め手がない。
<br />
<br /> 現代の心理学、精神医学を駆使しても解明されない部分がこの世に存在すること。そして、「祟り」のようなものがあっても不思議ではないことをこの事件から感じた。
<br />
<br /> 残念なのはこの犯罪が起きる前に予兆があって、防ぐことができたかもしれないということだ。犯罪は解明することよりも、防ぐ手段を立てることが重要であることをこの本から学んだ。