著者が、バスを利用してのユーラシア大陸横断を行った際の旅行記です。ただ旅行記といっても有名な観光地に行くといった旅行ではなくその町に行って人とのふれあい、また街の雰囲気から行く場所、滞在期間を決めるというきわめて自由な旅行です。<br>読めば何かを感じさせてくれる数少ないほんのひとつです。
ボクはこの本を読んで、24歳のとき、バックパックをかついで<br>一人旅に出ました。<br>沢木さんのようにユーラシア大陸横断というわけでなく、<br>東南アジアを半年近くかけて下っていくというものでしたが。<p>旅先で知り合った人々はかなりの割合で『深夜特急』を読んで<br>いました。それほど影響力のある本です。<p>久しぶりに読み返してみましたが、やはり面白い! 時を経ても<br>色あせないですね。旅に出たくてムズムズしてきました。
この「深夜特急」シリーズは、全巻どれも気に入っていて、何回も読み返しては、自分もいつかこんなルートで大陸横断してみたいと憧れるのですが、特に私が気に入っているのはこの五巻目の旅です。<p> 一巻目のマカオや香港の旅から伝わるエネルギッシュさや、一方で六巻目のいかにも旅の最終章にふさわしい、ヨーロッパ大陸の先まで辿り着いた著者の感慨深い思いもいいのですが、しかし、この五巻目に描かれていたギリシャやトルコの人々との交流には、一番胸にじんわりと来るものがありました。<p> 国は違う者同士だけれど、言葉を交わさなくても、ただニコニコしているだけで十分気持ちが通じ合っていた時間・・・そんな時間がもてる場所は三十年近くたった今も向こうにはあるのだろうか、それを探すために自分も旅行してみたい、そんなことを思わせてくれる章でした。