日頃、湯水のようにニュースの中でに流れては消えていく殺人事件。そこで実際に何が行われたのか、ということを知るのは、死刑制度や少年法の改正などを考える上で重要なことだと思います。頭に『猟奇』や『凶悪』の二文字がついたところで一年も経てば大抵は忘れられてしまう事件を取材して改めて掘り起こしてくれたことはとても評価できるでしょう。
<br /> が、できればライターの方には事実のみを淡々と書いて欲しかった。変に情緒的な描写が多すぎるせいで、ワイドショー的な胡散臭さが先に立ってしまう気がします。特に自殺テープの回は酷すぎる。怪談話じゃ無いんですから、不気味な音がどうのこうのなどという煽りは必要ないでしょう。
「新潮45」編集部から3シリーズが出てますが、すべて読みました。各記者さんが冷静に、わかりやすく、読者に語るかたちと思えて好感。残酷な事件の数々ですが、ある意味、当事者・関係者の立場が臨場感たっぷりに味わえる一冊です。
<br />犯罪ものは有名記者さんが書いたものが目立ちがちですが、こういった編集部でのものも大変読み応えがあるのだなと実感しました。全体的に人間のにおいがする、でも変な「クセ」はない、涙さえ出そうになるくだりもあって、読み物としても素晴らしいと思います。
週刊誌やテレビで取り上げられた事件の中で、なんとなく記憶に<br>残っている事件が、いまだに未解決のままであることに驚きを<br>隠せない。この本は、悲惨な事件は何故起きてしまったのか、事件の<br>裏側を教えてくれるだけではなく、被害者家族の声にならない悲痛な<br>叫びが聞こえてくる気がした。