周りの者から少し外れた武士達の話で、一人一人長くないページ数でとてもよくまとめられています。大筋では少し似たような話が多いので一気に読むのではなく、一人ごとに少しづつ読んだ方がそのたびに心が温かくなるのでお得です(笑)
<br />さっぱりした文の中でも登場人物の個性がしっかり伝わり、歴史モノに興味が無くても読みやすく魅力のある本だと思います
江戸時代の名もない剣士の物語が集められた短編集です。
<br /> しかも、8人の剣士とも華々しい生活というよりも、ちょっと日陰な境遇の人達。ひっそりと生きる男たち。
<br /> 自分の力を誇ることなく、ひけらかすことなく、おごることなく生きるその姿こそ、まさに「卑怯」という言葉を一番に嫌う「武士道」そのもののように見えました。
<br /> 華美でなく、誇張しない文章からも、淡々とひたむきに生きた男たちの背中が見えてくるような気がしました。
淡々とした、でも、温かい筆致で描かれる下級武士の生活や心情。武士として、と言うよりも、人間味溢れる其々の主人公に、所謂カッコいいヒーローと言う魅力はない筈なのに、惹き込まれる。
<br />どの話も、結末が悲しくないことも、読後感を爽やかなものにしてくれて嬉しい。