用心棒シリーズの最終章。<br>主人公の青江又八郎が訳あって江戸に出てきてから、約19年後の話。<br>16年ぶりに江戸に出てきて、昔の親友たちに会い、近況を知り、さまざまな思いを刻みつつも藩のために働く主人公。<br>親友、細谷源太夫の変わり果てた(?)姿を見て、私も涙しそうになりました。いやっ正直泣いてしまいました。<br>最後の場面、親友との別れ、仕事を世話してくれた人との別れ、そして、妻とは別の、なくてはならない女性との別れ、もう泣くしかありません。<p>一巻の『用心棒日月抄』からぜひぜひ読んでほしい!
人気の「用心棒日月抄」シリーズの第4作にして最終巻です。第3作から16年、藩士として忙しいながらも平穏な日々を過ごし、又八郎も40半ばの中年にさしかかりました。一方、幕府も100年を経過し、又八郎を助けた秘密の組織である「嗅足組」も不要な時代となり、又八郎は嗅足組解散を告げる密命を帯び、再び、江戸に出府することになります。そこで、嗅足組リーダーである佐知とも再会することになりますが、またもや、藩の存亡を左右する暗闇にまきこまれてしまいます。<br>前3作と異なり、今回は、藩士としての出府であり、用心棒稼業を通しての市井のユーモアよりも、幕府隠密や藩の黒幕との争いというサスペンス性が中心となりますが、前3作でおなじみの細谷や口入屋吉蔵のその後も描かれています。おなじみの人物の全員が決してハッピーエンドに終わるわけではありませんが、彼らのその後を知りたい方にはお奨めの1冊です。
3作目までのような派手な斬り合いこそないものの、いくつかの事件とそれらの裏にある一つの隠された陰謀をじっくり調べ詰めていく様子は上質のミステリーのよう。16年の歳月で中年になっても、多少腹が出ようとも(又八郎自己申告)頭脳も剣先も鈍らず、年をとってもカッコいい。