初めて伊坂幸太郎の本を読んだのだが、お見事でした。
<br />これは、ミステリー?いやミステリーのようでいてそうではない。
<br />あ、こんな作家がいた。ポール・オースター。似ているわけではないけれど、同じ匂いを感じます。
<br />「スタイリッシュ」、「かっこいい文体」といった言われ方にはちょと引いていたけれど、ハナつくわけでもなく気障でもなく、自然でスマートで、そのさじ加減が絶妙。
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優しく穏やかな父、今は亡き美しくちょっと変わった母、半分しか血が繋がっていない兄弟、泉水と春。<br />これは、つらい遺伝子の繋がりを飛び越えたある家族の物語であり、グラフィティアートと放火の繋がりを追うサスペンスでもあります。<br /><br />題材は結構重いけれど、軽妙な会話と絶妙な伏線がなかなか効いていて、読んでいて重苦しい感じはしませんでした。<br />本の後ろ表紙に「未知の感動」って書いてあったけど、本当にその通りでした。<br />とても哀しいけれど、とてもあたたかい。<br />今まで感じたことのない、未知の感動を味わいました。<br /><br />家族って、親子って、兄弟って、最強。
在り来たり、と言ってしまえば其れまでなのですが、シンプルで読みやすいです。
<br />でも、決して単調な訳ではないですよ。
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<br />文章も非常に推敲されている気がするし、読んで得した気分に成ります。
<br />伊坂 幸太郎の本を読むのは初めてだったのですが、其れでも十分楽しめました。
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<br />是非、他の作品も読んでみたいと思わせる一冊です。