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| 狐笛のかなた
(
上橋 菜穂子
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解説で書かれているように、作者の実力は証明済み、有保証の本作。児童文学というジャンルにカテゴリー分けされ、その特徴である「読みやすさ」という点にまず圧倒されるはず。
<br /> ストーリーは、人の心を聞くことの出来る能力を持つ少女、小夜が、使い魔として使役されている霊狐、野火を助けたことからはじまる。自分という存在についての真実、大人たちの勝手な思いによって翻弄させられる世界など、ファンタジーのオーソドックスな要素はきちんと押さえつつ、けれど独特の筆使いによって力強く語られていく物語。
<br /> 実力者まさに推参、といった感じで前評判どおり、またはそれ以上の出来でした。ファンタジーといえば海外モノに限る、と決めつけるのはまだ早い。活きの良い和製ファンタジー、ここにあります。
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