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| 外交敗戦―130億ドルは砂に消えた
(
手嶋 龍一
)
湾岸戦争終結後、クウェート政府が発表した感謝国リストに“JAPAN”がなかった。130億ドルもの巨額歳出をしたにもかかわらずだ。
<br />その結果に至った、大蔵省と外務省の対立を、インタビューと取材で、細かくあきらかにするノンフィクションだ。
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<br />ここには手嶋氏の主張は入っていない。
<br />インタビューと取材で集めた事実を入念に繋ぎ合わせ、見えてくる真実を明らかにするだけだ。
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<br />これは本物だ。 あとがきによると「湾岸戦争であれだけの体験をしながら、それが過ぎてしまうと、あの日々を検証する試みが為されることのなんと少ないことか」という感想から著述が始まったらしい。自ら招いた忌々しい結果であり、他国を責めることができず、忘却してしまいたい心理が日本社会においても働いている。NHKという影響力あるメディアに勤める身でありながらそれを掘り起こした努力を評価したい。
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