2巻までがお勧め。敵国の民の事も考える晏子は、世界一の軍師である。
<br />君主よりも天命よりも民意が一番大事なのであ〜る。
<br />アンビバレンツが生じる事態でも、全ての存在を高める策を考える晏子は凄い!
<br />アクロバテックな仁義礼忠孝の策のサーカスに酔いしれろ!
<br />三国志の成功率100%の軍師カク元和は、主君のみを高める策を
<br />常に間違えずに献策したが、主君が悪でも善でも大物でも小物でも、
<br />常に主君の事しか考えなかった。
<br />それはそれで、仕事を選ばないプロ軍師でかっちょええが、
<br />晏子のように主命に背いても全てを幸福にする策を捻り出して欲しかった。
<br />勢力の海の中で、全ての勢力に協力して全てをより良い存在に高めようと、
<br />離れ業を演じ続ける晏子は世界一の軍師である。
古代中国、群雄が割拠した春秋時代、斉の国に仕えた晏弱(あんじゃく)、晏嬰(あんえい)父子の姿を描いた長編歴史小説。「子」は男性への尊称で、親子ともに晏子と呼ばれていたようです。
<br />父親の晏弱は、難攻不落といわれた城を落とすなど名将の誉れ高い武将、子の晏嬰は、父の死後、当時すでに廃れていた服喪の儀式をなし孝子の評判を挙げた賢臣。この二人を中心に、その周りに集まる人々、王、さらには当時の国の情勢が詳しく書いてあり、質・量ともに十分な内容です。
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<br />「江南の橘も江北に遷せば枳殻となす」の言葉ばかり有名で、その生涯などはまるで知らなかった本書の主人公の一人の晏嬰。私だけでなく、知らないでいる人がほとんどではないでしょうか。このような、名前は知っているがその生涯や事績はあまり知られていない古代中国の人物に焦点をあてて、歴史小説を書き続けている作者。まだまだこのような人物は大勢います。何しろ四千年の歴史の国なのですから。これからも一人でも多くの人物を取り上げ、その生き様を見せてくれるよう、期待します。
晏嬰が主人公なのだが、父の晏弱が一番魅力的な登場人物。晏弱に惚れ<br>た蔡朝や南郭偃と同じく、私も彼に惚れてこの小説を読み終えた。