兄やである手代二人、妖怪たち、両親たちに溺愛されている病弱な若旦那が主人公・・・
<br />と聞いた時は正直あまり読む気はしなかったのですが、
<br />一度読み始めたらもう止まりませんでした。
<br />若旦那がその育ちの良さもあってすごく心根の優しい少年であることはもちろん、
<br />一方で自分の病弱さを憂いて、その優しさの裏に「強くなりたい」という思いを持っていること、
<br />きちんと商人の家の主の子らしく人の上に立つ賢さやちゃっかりさを持ち合わせていることも
<br />すごく好ましかったです。
<br />甘甘に育てられているけれど、甘甘な駄目坊ちゃんではないんですよね。
<br />そういうところも含めて、手代や両親の過保護っぷりがすごくいいです。
<br />うんうん、わかるよ・・・とつい頷いて共感してしまうぐらい^^;
<br />怖い顔をしているけれど言動が可愛すぎる鳴家や、
<br />若旦那に平気でつっかかって仁吉にぶっ飛ばされる屏風覗きを始めとして、
<br />妖怪たちもすごく陽気で可愛いです。(お菓子貰って喜んでいるところとか!)
<br />
<br />作者さんが漫画家なだけあって、描写は小難しくなく、すごく分かりやすいです。
<br />文庫版も発売されていますが、装飾・挿絵を担当されている柴田ゆう先生のイラストは
<br />本当に素朴で可愛らしいので、ちょっと高くても四六判の原書の方がお勧めです。
大店の若だんな・一太郎は、ひどく体が弱い。しょっちゅう寝込んでしまう一人息子に両親はひどく甘い。おつきの手代も甘い。そんな若だんながある日、過保護の手代二人にも内緒でこっそり夜歩きに出かけ、人殺しに合ってしまう。妖(あやかし)に助けられて、なんとか帰途に着く若だんな。なぜか、若だんなの周りには、ごく当たり前のように妖たちがいるのだった。そして、若だんなに人殺しの手が迫り...
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<br />病弱な割にはしっかりした若だんなと過保護な二人の手代が、結構いい味出してます。いいとこのぼんぼんなのに、病弱すぎるせいか、いやらしさのない若だんなは、まだまだ世間知らずの子供って感じですが、その割には健気に頑張ってて、かわいいです。最後、どうするのかとも思いましたが、金に物を言わせるとこはしっかりやってて、ちょっと見直しました。登場人物が魅力ありで楽しいです。
時代劇を見るのは好きだけど、時代小説を読むのは苦手★でもこれはただの時代小説じゃナイ!廻船問屋の病弱な若だんなを支えているのは妖達!妖怪は鬼太郎で知識があるので読みやすかったです。こっそり抜け出した帰り道、若だんなは人殺しを目撃!その後も不可解な事件が続き、若だんなは事件を解決しようと乗り出します。でも若だんなは病弱ですぐに寝込んでしまう。そこで妖達が情報収集を。・・・このノリはグルメ探偵ウルフ(外出嫌いの探偵に代わり、助手が情報収集し、探偵が事件を解決する)を思い出します。この話はミステリーやサスペンスではなく、時代劇というよりファンタジーという感じです。所々にある挿絵も可愛い!映画化されるそうですので、そちらも楽しみです。