今までこの本の存在を知らずにいたことを恥じるほど,良かった。
<br />専門的な記述が無いにもかかわらず,どういうことをやろうとしていたのか,何をしたのかが伝わる。すごくドラマチックでたくさんの人間模様とその仕事の積み重ねを感じることができる。
<br />おこがましくも,今となってはその断片ほどの記憶しかなくなりつつある自身の大学時代の研究を少し思い出した。
<br />訳も素晴らしい。原文を読みたい気分に全くならない。
ハードカバーも世界的大ヒットとなった本書ですが、噂以上の仕上がりです。サイエンス物でここまで平易にかつ感動的な内容にする著者の度量はすばらしいものがあります。
<br />特別数学の知識がなくても、数論の世界の住人となって話のなかに没入できる凄さがあります。800円は安すぎる。今すぐ買うべきです。
以前から興味を持っていた本ですが、今般、文庫化されたことで購入しました。ご存知の方も多いとおり、タイトルの「フェルマーの定理」は、17世紀の数学者が「この命題の真に驚くべき証明を持っているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない」という謎の言葉を残してから、幾多の数学者が、挑戦しても解決できなかった難問です。
<br />本書では、フェルマーの定理が出るにいたるまでの17世紀以前の数学史から、数学者が挑戦し、ワイルズという数学者が解決するまでを、平易に語っています。この本の白眉は、やはり、日本人も含めた数学者が、解決に至る手がかりを見つけながら、解決までには至らず、最終的にはワイルズがそれれらの手がかりをまとめ、証明するくだりで、下手なミステリーよりもドキドキワクワクさせられます。但し、そこのくだりに至るまでは、やや冗長な面もあり、何回か、放り出しそうになったのも事実です。その点を差し引いて、星4つにしておきます。
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